船のカタチ (1)   STRATHMORE級 と MAURETANIA − 1930年代の船         2010-01 神田 修治

  K-シニアの皆様、神田修治です。
  2010年 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

  私はこのごろ船のカタチについて調べたり考えたりしています。
  昨年は時々、神大・深江の図書館書庫にこもりSHIPBUILDER(SB) やMOTOR SHIP(MS)、さらには
  SHIPPING AND SHIPBUILDING RECORD(SSR)等の雑誌の1910年代の昔から最近までの合本を調べ、
  新造船紹介記事から一般配置図のコピーをし、なかなか興味深く、楽しい思いをしました。

  上の二つはそれらの中から1930年代の英国のオーシャンライナーの絵です。
  1930年代といえば1929年に始まった世界大恐慌のあと、経済復興した時代です。
  この時期、つかの間でしたが平和の中、文化も興隆し、船のカタチもよいものが続出しました。
  ハウスの前面を曲面に工夫したり、煙突の断面の形も、円から長円やタマゴ形にしたり、ということが、
  この時代から盛んになったと言えます。

  上の2船はその典型で、どちらも良いカタチだと思います。
  そう思うのには私の老人としてのノスタルジアもあるかもしれません。
  STRATHMORE級はP&O社の英国・インド・極東航路定期貨客船で、
  この船のカタチはその後、第二次大戦後のP&O社船にも影響しています。
  一方、MAURETANIAはCUNARD社の中堅クラスの大西洋航路客船です。
  有名なQueen Mary、Queen Elizabethには世界一の船として力一杯という感じを受けるが、
  本船は手なれたやり方で余裕を持って手堅く設計・建造をしたもの、という感じが私にはします。

  これら2船はどちらも良いカタチだが、それぞれ独特の特徴があり、印象は異なります。 それは何故か。
  STRATHMOREは暑い航路でハウスが開放的、MAURETANIAは寒い航路でプロムナードがエンクローズド、
  という説もあり、それはそのとおりと思いますが、それだけではなくP&O社、CUNARD社、さらには造船所等、
  関係者のセンスの違いもあると思います。しかしセンスの違いとはなにか、ナカナカ説明がむつかしい。
  まずは絵で示しながら、今後あれこれ考えてみたいと思います。 

                                                                (次回につづく)

ギャラリーのトップに戻る      船のカタチ (2) へ