「 鉄 道 模 型 の 楽 し み 」


赤木新介

1.ライブ蒸気機関車模型を作る


 模型マニアの中には鉄道模型好きが多い。 そしてそれが嵩じると2つの方向に興味が分かれるようである。

 1つの方向はレイアウト派である。 レールを敷き、駅舎やトンネル、鉄橋などのミニチュアを作り、その中で列車を走らせる。 本物そっくりの信号機、さては駅員の人形まで完備する。

 そしてもう1つの方向は、車両メカ派である。 初め電動の車両を作っているが、やがてメカをもつ蒸気機関車に興味が移る。 それも実際に火を焚き、蒸気をあげて走るライブスチームである。 大きなものでは、何人も人を乗せて牽くことができる。

 ここで紹介するのは後者である。 これは電動式に較べ、作るにしても走らせるにしても比較にならない手間と労力がかかり、それだけに走らせる際の興味は抜群である。 電動式は、既に出来上がった電気エネルギーをモータで動力に変えるだけであるのに対し、蒸気式は自分で熱エネルギーをつくり、発生させた蒸気でピストンを動かし、さらに車輪を回転させて走るわけであるから、それだけに難しくなる。 しかし本物そっくりのメカニズムを持ち、それを作動させて走る迫力は、何物にも代え難い魅力をもつ。

 今回紹介するのは、主として旧国鉄の大型蒸気機関車の45ミリゲージ模型(サイズは実物の1/24と1/27)である。 一般にライブ模型といえば、人を乗せて走る大型模型(89ミリゲージや127ミリゲージ)があり、どちらかといえば、これらが主流であるが、例えば127ミリ(5インチ)ゲージで大型機関車を作ると、優に250キロを超える重さになり、クレーン車でも無いと運ぶことも出来ないし、まして庭先などで簡単に走らせることは難しく、“公園鉄道”ということになってしまう。

 この点45ミリゲージでは、スケールモデルとして大型機を作ることも可能で、例えば次に紹介する大型機C62型でも、炭水車込みで20キロ位に収まり、何とか宅地の庭先などで扱うことが可能である。 次に写真を示そう。


2.模型の写真

(画像をクリックすると拡大表示)

走行スタート 蒸気を吐いて走行 待機中 脚まわりの調整 作動試験 ボイラ前部 C62 2号機
D52 142号機 4機 整列 C62 15号機 C62 15号機 C62 15号機 動輪 C62  D52 C62  D52

3.あとがき


 現在5台の機関車を所有しているが、シルバーリンク以外は何れも自分で組み上げたものである。 組み上げると言ってもプラモデルとは違い、大物鋳物部品以外は手作りである。

 細部の切削、ねじ切り(数百本におよぶ)、やすりがけ、銀ろう付けに、はんだ付けなど、定年後の作業で1台当り約1年を要した。 作ること自体は概ね楽しみと言えるが、工作作業特有のストレスとフラストレーションが強く、このあたりで打ち止めとした。

 ライブ機関車作りを楽しむことは、いろいろの条件が整わないと難しいというのが本音である。

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