船のカタチ (3)   CHUSAN、 IBERIA、 CANBERRA − P&O社船の進化     2010-03 神田 修治

  前回(2)で船のカタチには系譜があるとし、STRATHMORE級、CHUSAN等の似たカタチの系譜を見ましたが、
 系譜というものは単に似ているというだけではない、とも思います。 時代とともに船のカタチが変化・進化してゆく
 なかにも系譜があると思います。 技術の進歩により船のカタチが変化するのは、むしろ当然といえます。

  上図は P&O社の3船ですが、CHUSAN は前回にも示したもので、VA社で 1950年建造。
 IBERIA は 1954年 Harland & Wolff(HW)社建造。 船のカタチは CHUSAN 等と似ています。
  SB誌の本船紹介記事の中にも typical appearance of well known P&O fleet と記述されています。
 私はこのことが船のカタチの系譜であり、P&O社船のブランド効果の発揮である、と思います。

  CANBERRA は 1961年HW社建造ですが、船のカタチはずいぶん変わりました。
 それは  @ アフトエンジン配置  A 球状船首船型の採用  B クルーズ船機能の強化 等です。
  アフトエンジンは船体中央部のよい場所を船室や船倉等に当てることができますが、ファンネル等船のカタチを
 どうまとめるかが課題になります。 CANBERRA はアフトエンジン船としてウマクまとまっていると私は思います。

  CANBERRAのように、ここまで船のカタチが変わると typical appearance of well known P&O fleet を保持するため
 には、彩色が重要になってくると思います。 これらP&O社客船の場合は白い主船体、黄色のファンネルとマスト、
 赤いブートトップです。  これらの彩色要領のことを LIVERY といいます。

  これら3船では船のカタチとしても、船室を船尾後端まで広範囲に配置するという考え方が CANBERRA にも継承
 されていて、それが typical appearance of P&O fleet となり、脈々とした系譜になっていると、私は思います。

  CANBERRAは1982年勃発のフォークランド紛争では兵員輸送船として参加し、活躍しました。

                                                                (次回につづく)

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