船のカタチ (6)   CARONIA、 SAXONIA、 QE2 - CUNARD社 第二次大戦後の船   2010-06 神田 修治

  CUNARD社の戦後の船腹整備は戦災復旧でした。 この時期、客船の世界には変革がありました。
  それはジェット旅客機の発達により乗客を奪われ、客船事業の経営が大きな影響を受けたことです。
  客船はオーシャンライナーとしての役目を終え、クルーズ客船として生きる途を探ることになります。

  CARONIAは MAURETANIAと同様の船として建造されたが、クルーズ客船として計画されました。 塗色も明るい
 グリーンで、Green Goddessと呼ばれました。 SAXONIAはカナダ航路の老朽船リプレースのために4隻建造され、
 ライナーとして建造されたが後には改装されてクルーズ船となりました。

  QM、QEの引退を受けて QE2が建造されたが、QE2は計画時からクルーズ客船としても運航することを考えて
 設計・建造されました。 そのあと 1986年 QE2は主機換装(蒸気タービン→デイゼル電気推進)とともにクルーズ
 専用客船として改造がなされました。

  この時期、船のカタチも、船舶技術の進歩をうけて、変化しました。 推進機関の進歩もあって煙突の数は少なく
 なり、水面下も球状船首、バウスラスター、フィンスタビライザーの実用が進みました。 しかし上図を見ると、ハウス
 の前面は急な階段状、後はなだらかな階段状という CUNARD船のカタチの系譜は続いています。 また船尾の
 ドッキングブリッジ (DB)も CUNARD船の特徴でしたが、QE2では DBが無くなりました。

  私は学生時代ツテを頼ってタグボートに乗って CARONIAの神戸入港作業を見学し、あと船内見学しました。
  朝モヤの中からヌッと現れた巨体や、厚い絨毯のサロンのエリザベス女王夫妻の大肖像画を、思い出します。

  QE2は 1982年のフォークランド戦争で Troop Shipとして活躍しました。
  関連事項として、1972年にはクルーズ客船事業の CARNIVAL社が創業しています。
  余談ながらこの時期、英国の船舶雑誌の業界にも変革があり、1964年、Shipbuilder (SB)誌と Shipping World
 (SW)誌は合併し、Shipping World and Shipbuilder (SWSB)誌となりました。 


                                                                (次回につづく)

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