船のカタチ(35)  ノルウエイ船社Westfal-Larsen社のコンテナ・バルク貨物船
             ALTANGER(A船)、GRINDANGER(G船)、INVENTANA(I船)、PELICANA(P船)

                                                                   2012-11 神田 修治


ノルウエイ船社Westfal-Larsen(W-L)社は船のカタチ-33、-34に記したように、ハッチが広く、船倉が箱型で走行門型クレーンを装備した独特の貨物船を保有し、長年にわたり運営しています。 ここには1980年代から現在までのこれらの船の系譜を図示します。 これらの船はコンテナも積むが他の貨物、例えばバラ積貨物、鉄鋼製品や、木材チップ、紙ロール等の森林製品等も積み、クレーンでの荷役により、コンテナ用岸壁クレーンの無いような港への輸送も可能です。 船速はさほど高速ではなく、そのため船型もFull(肥えている)だがこのことは船倉を箱型にするために、また走行クレーンをできるだけ前方まで通すために都合がよいといえます。

これらの船のカタチは独特です。 初期のA船、G船では船首部の甲板と主船体の連続部が不自然なフレアで不恰好と思ったが、その後経験、改良が重ねられ、最近のI船、P船では主船体がFullなことを利用して船首部フレアとの連続も自然になりよいカタチになってきたと思います。 ノーシャー、ノーキャンバーの主船体と積木のように直線的なハウス、角ばった門型クレーンとがあいまって調和し、ナカナカよい造形になったと思います。
船のカタチは設計し、建造し、運航し、改良するという経験を積むことによって洗練されてゆくと思います。
そこには設計者をはじめとする関係者の努力やセンスが影響すると思います。 そして船を見る私のほうにも、はじめは奇異に感じたカタチも、見馴れるにつれてあまり奇異と感じなくなるという事情もあるようです。

このような船は、Leif-Hoegh社やその他の船社もやっていたが、その後L-H社はPCC、LNG船に特化し、他社もやめて、いまはW-L社のみがやっているようです。 このような船は一般のコンテナ船のような高速船ではないが、走行クレーンという荷役装置を有し,船として自己完結性、自律性が高いので、荷主と独特の関係を築き、発展途上の港湾へも物資を届けて人々から喜ばれているのではないか、と私は思います。


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