船のカタチ(41)  ノルウエイの船  Norwegian America Line NAL
               OSLOFJORD (O船)、 BERGENSFJORD (B船)、
               SAGAFJORD (S船)、 VISTAFJORD (V船)
                                                                   2013-05 神田 修治


Norwegian America Line(NAL、Norske Amerika Linien)はノルウエイを代表する船社で、ノルウエイ、北欧と米国を結ぶ客船航路を経営したが、現在は客船事業をやめ、NOSACと称して自動車船等をやっています。

客船をやっていた当時、NALの所有・運航した客船は20,000GT程度、20ノット程度で中級のものですが、フィンスタビライザーや内装等船客設備は充実しそのカタチもバランスのとれた流麗なものでした。 ここにはNALの戦後建造船を示します。 O船は2次大戦後まもなく建造され、復興過程だからか貨物も重視したようですが、そのカタチはデリック、クレーンとハウスの流線形がよくマッチしていると思います。 B船は本格的な客船で「流麗・均整」という言葉がピッタリです。 むかし私はB船の船台上の絵を見て、水線下のカタチも含めた流線形に感動し船好きが昂じました。 B船は1959年春、クルーズ運航として神戸港にやってきましたが、そのとき学生であった私はツテを頼って友人とともに日東運輸の曳船・瑞鳳丸に乗せてもらい入港するB船の写真を撮りました。

S船は計画時点からクルーズ客船の要素を大きく取り入れた船です。 文献(1)によるとこの船の設計は、NALの造船設計者(Naval Architect) K.Haugに加えて,デンマークの建築デザイナーK.Korbingが内装設計等を担当したそうです。 造船所S.F.C.Mediterranee(フランス)の設計者も加わって、どのような議論や共感・協力があったか、私は興味を覚えます。 V船は完全なクルーズ客船として計画され、やはりK.Korbingも参画しました。

このように並べて見て、私はB船のカタチが一番好きです。 流線形としてカタチ良さを追求するのだが、それが行過ぎないバランスというか節度といったものを感じます。 S船、V船は背が高すぎると思ったがその後、上に客室を乗せ、屋上屋を重ねて不恰好になりました。 イマドキのクルーズ客船はブリッジの上に何層も客室を重ねて不恰好と私は思うが、それにくらべ上掲NALの客船はスマートでエレガントなカタチであったと思います。

     文献  
  (1) B.Peter, Danish Ship Design 1936-1991, The Work of Key Fisker and Key Korbing Ferry Pub.(2004)


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