船のカタチ(78B)  日本船舶海洋工学会関西支部長賞 受賞と今後の抱負

                海上自衛隊のイージス艦  あたご<2007>、あしがら<2008> と 
                旧日本海軍の重巡洋艦  愛宕<1932>、足柄<1929>
                                                                   2016-06 神田 修治
 

この「船のカタチ」シリーズは、このたび日本船舶海洋工学会関西支部長賞を受賞しました。 まことに光栄なことと思います。
先日5月17日、三菱神船で行われた支部総会の中で授賞式がありました。 私は受賞スピーチをし、このシリーズ今は海上保安庁(海保)の船艇をやっているが、海保のシリーズをやって「領海警備」や「国防」ということが大切であることを、いまさらながら再認識したこと、そして今後、国防に関する海上自衛隊(海自)や旧日本海軍(旧海軍)の艦船についてもやりたいと申しました。

そしていま、海自と旧海軍シリーズの構想をアレコレ考えているところですが、その中から、海上自衛隊ミサイル護衛艦 あたご<2007>、あしがら<2008> と、同じ艦名の旧海軍重巡洋艦 愛宕<1932>、足柄<1929> を図示します。 (同スケール)


あたご<2007>、あしがら<2008>は海自のイージス艦です。 米海軍のイージス駆逐艦A.BURKEを手本として設計された艦で、空襲してくる多数のミサイル等について探知、分析、追尾するとともに、それを撃墜するため、本艦からミサイル攻撃することが出来るというコンピュータ武器システムを搭載し、乗員の技量・練度等も含め、米海軍と同じ高レベルで協同活動ができるものと言われています。(1)  報道などで、北朝鮮のミサイル打上げやそれに対する防衛大臣の破壊措置命令等について見聞することありますが、イージス艦はその都度出動していることからも、この作戦の重要な要素をなしていると思われます。 本艦の絵を見て気がつくことは艦橋が巨大なことと、それがピラミッドのような独特なカタチであることです。 これはイージスシステムのフェーズドアレイレーダーのアンテナを、全周にわたって探知するに適切な姿勢・角度で装備するためと私は推察します。 また本艦は護衛艦隊の旗艦になるそうであり、その設備を艦橋内に収める必要もあると思います。

足柄<1929>は旧海軍の重巡洋艦で、条約型巡洋艦といわれました。排水量1万トンという国際条約制限の中に、高速35ノット、20cm主砲二連装5門の重武装を盛込んだ出色の重巡洋艦といわれ(2)、均整のとれた美しいカタチでありました。 本艦は1937年英国王ジョージ6世戴冠記念観艦式参列のため英国に派遣されたが、そのとき足柄のカタチを見た英人は「飢えた狼のようだ」と評したそうです(3)。 それは戦闘艦のカタチについてのひとつの褒め言葉と解釈することができると私は思います。

愛宕<1932>は足柄とほとんど同型だが、艦橋が著しく大きいのが特徴でした。 その艦橋のカタチは図のように多数の傾斜した平面の複雑な組合せからなり、独特の良い造形になっていると思います。 城郭のようだという評もあります。(4)

以上は予告編として、海自と旧海軍、最近とむかし、とりまぜて図示しましたが、いうまでもなく、これらはわずかな一部であります。 海自も旧海軍も、保有する艦船は多数であり、またそれらは体系的なグループを形成しています。 のちほど海自や旧海軍のシリーズ本番の時には、もっと多数の艦船を、もっと体系的に図示説明することにしたいと思います。
本番は来年2017年になると思いますがどうぞご期待ください。

   (1) WIKIPEDIA イージス艦            (2) 福井静夫、日本の軍艦、出版協同社 1957 
   (3) 和辻春樹、随筆・船、明治書房 1942    (4) 日本海軍艦艇発達史、重巡 高雄型、光人社丸スペシャル 1987