船のカタチ(100)  海上自衛隊の護衛艦の三系列 DD、DDG、DDH
              はるかぜ <1956>級、 あきづき <2012>級、 あたご <2007>級、 いずも <2014>級
                                                                 2018-04 神田 修治

海上自衛隊(海自)の使命は「海上交通の保護」を第一とされています(船のカタチ-99、資料2)。 そしてこれを専守防衛のもと、武力衝突を未然に抑止するというのが日本の立場です。 このための軍備、軍艦として、まず挙げられるのは護衛艦でありましょう。 護衛艦の個々の艦を説明する前に、今回は ①護衛艦のはじめと現在、 ②現在の護衛艦には三系列があるということを説明します。



上図は海自・護衛艦のはじめ、はるかぜ級です。 当時は警備艦と称されました。 本級の二番艦ゆきかぜを新三菱神戸の艤装岸壁で見て高校生の私は、終戦後の日本も軍艦を新造するようになったかと思い、そのカタチはむかしの駆逐艦に似ていると思い、よいカタチだと思いました。 また同好の仲間とともにゆきかぜに乗艦見学し30ノットの疾走を実感したり、はるかぜ級の手本は、USNのFLECHER (F級)ではないかとか、F級と日本海軍の陽炎級はライバルだった等と話し合ったりしたことを、懐かしく思い出します。
それから60年以上、いま護衛艦は私たちも普通に見かけるものとなりました。 その代表例は下図のようです。



上図を見るとはるかぜ級に比べ近年の護衛艦は大きく、むかしの軽巡洋艦(船のカタチ-89)に匹敵します。 そのカタチは、ステルス機能やフェーズドアレイレーダーアンテナの装備などのため、船体、艦橋、上構などが斜の面で構成されており、よいカタチと私は思います。 またいずも級のように空母に似たカタチの艦も出現しました。 このように護衛艦は多様になり、その代表例は、上図に示すように三種類、それは護衛艦が直面する三戦様(戦の様相)、対潜戦ASW、対空戦AAW、対水上戦ASUW (-99)に応じた次の三種です。
 ① 
あきづき <2012>級 AAW、ASW、ASUW、すべての能力を持ったDD汎用護衛艦。
 ② 
あたご <2007>級 AAW能力を重視したDDGミサイル護衛艦、イージス・システムを搭載している。
 ③ 
いずも <2014>級 ASW能力を重視したDDHヘリコプター護衛艦、対潜ヘリコプターを多数(3機以上)搭載、
    カタチは空母型。

このように護衛艦には三種(三系列)がありますが、今後、船のカタチ-100A-100BにDD汎用護衛艦について記し、
船のカタチ-101にDDGミサイル護衛艦、-102にDDHヘリコプター護衛艦について記述します。

むかし
はるかぜ級の設計に当たり、高速で、手ごろな大きさ、種々の兵装のプラットフォームとなる艦として駆逐艦DDを考えたのだろうと私は思います。 思えばDD駆逐艦は護衛艦のルーツであります。 しかし今の護衛艦を見ると、発達し、変化し、DDの呼称はもうそぐわなくなったと私は思います。 いまの日本の軍艦として、新しい艦種として、駆逐艦ではなく、護衛艦がふさわしいと思います。

   (資料1) 海上自衛隊全艦艇史、世界の艦船869、2017-11増刊
   (資料2) 香田洋二、自衛艦整備の歩み、世界の艦船869、2017-11増刊


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