船のカタチ (2)   STRATHMORE級、HIMALAYA、CHUSAN − P&O社船の系譜     2010-02 神田 修治

  船のカタチには系譜があると私は思います。
  船の設計ではタイプシップ(手本の船)を設定して進められることが多いことからも、それは頷けます。

  ここに示した3船は、P&O社の英国・オーストラリア・インド・極東航路定期貨客船です。
  STRATHMORE級は前回にも示したもので、第2次大戦前の1935年建造。
  第2次大戦後P&O社が建造したのが、HIMALAYA(1949年建造)、CHUSAN(1950年建造)です。

  これらは同型船ではありません。 建造年も隔たっているし、大きさ(GT)も各船で異なっているにも拘らず、
  船のカタチはよく似ており、系譜をなしていると思います。 S船の印象が戦後のH船、C船にも継承されています。
  これらはいずれもP&O社とVickers-Armstrong造船所(VA社)のチームによる建造だからかと思います。
  H船とC船ではハウスの前面はCpt.DkとOff.Dkの幅が小さく、すこし軍艦の艦橋に似ています。
  それはVA社が軍艦建造の伝統があるからかもしれません。 (上図 A-A VIEW参照)

  私は高校時代神戸港第4突堤でCHUSANを見ました。 まず船首が高くそびえて見えました。
  船尾へ行くと、船首よりも3層下まで開放式とし後端まで甲板室があり、その最下層に繋船装置がありました。
  私は、船首は凌波性のために高くし、船尾はそれよりも繋船作業の便のため低くしているのだなと思いました。

  上の3船を眺めて、ちがいはS船にくらべ戦後のH船、C船はハウスが高くなっています。
  それはS船の幅(B)25mに対しGT同程度のC船はB 26mでBMが大となり、重心上昇が可能になったものと推定
  しますが、それには幅が広くても抵抗の大きくない船型という技術進歩があったと思います。

  これらの船のカタチはP&O社の特徴が出ており、ひと目見てP&O社船とわかるものでした。
  それは人々が 「ああ、あれはP&Oの船だ」 と想い、一種のブランド効果を発揮したと思います。

                                                                (次回につづく)

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