船のカタチ (12) BREMEN、 UNITED STATES − 客船補遺 2010-12 神田 修治 | ||
これまでオーシャンライナーやクルーズ客船等の客船のカタチを見てきました。 そろそろ客船を一段落にしようと思いますが、これまで取上げられなかったけれど良いカタチと思うもの2船を ここに示します。 それは BREMEN(B船)と UNITED STATES(US船)で、いずれもオーシャンライナーですが、 船のカタチ(11a)で述べたようにシルエット図心 G は中央よりも前方にして高速前進感を出しています。 B船はさらに高速前進感を出すためかハウスを低く、エントツも低くしています。 このため煤煙が後の甲板に かかるので、その後エントツを継ぎ足して高くしました。 船のカタチと機能は矛盾することもあるようです。 US船はB船と同様のカタチですが、エントツは巨大です。 エントツはエンジンの給排気の機能の他、船社マーク 表示等、よいオブジェであり、船のカタチにおいて重要な働きをしていると思います。 1952年竣工の US船は有事には Troop Ship に利用する超高速船のため新造当時、技術の詳細は秘密とされ、 情報・資料は極めて少なかった。 水線上のカタチは写真をもとに描けるが、水面下形状の情報がほしいと思って いたら、1978年 SNAME (米国造船造機学会)の雑誌に、建造所の Newport News 社から発表されました (注1)。 この資料には船体線図のほか、最高速力 (38.2kts @241,785shp) 等の成績も公表され、私も感慨深く見ました。 以上1年間12回、客船のカタチを見たり、描いたり、考えたりして、それは大変楽しいことでありました。 船のカタチとは ship と shape ですが、これをつなげた shipshape という語の意味は 「キチンと整っている」 で あります。 このことを辞書で知ったとき私は愉快な気分になりました。 実際、出来のよい船のカタチを見ていると 「キチンと整っている」 という感想が湧いてきます。 私たちはこのことを大切に思い、留意すべきと思います。 次回、来年からは、貨物船等のカタチを取上げようと思います。 (注1) Speed of the United States, J.R.Kane etc, Marine Technology 1978-04 (SNAME) (次回につづく) |