今回は前回船の カタチ-49 に続き、1990年以降最近までの海上自衛隊潜水艦を見ます。
あさしお <1992> は涙滴型はるしお級最終期の艦。 2001年改造しAIP(空気独立型推進)を搭載実験。
おやしお <1998> 級は涙滴型を脱し、並行部(パラレルボディ)の長いいわゆる葉巻型の船型になりました。
そうりゅう <2009> 級は最新型、AIP(空気独立型推進)を実用増設し、後部の舵としてX舵を採用しました。
これらの艦の進化には ①ステルス性と探知能力の向上と、 ②水中オペレーション能力の向上が挙げられますが、
これらは「潜水艦vs潜水艦」において、相手潜水艦をより早く探知し、優位な態勢をとるために重要です。
ステルス性向上のために、おやしお<1998>以降は艦橋横断面のカタチを台形にして相手からの探知音波を斜め方向へ反射し、相手から探知されるのを防止しています。 また主船体には吸音タイルを取り付けています。
そうりゅう では艦橋前下部にフィレット(整流)をつけ航走中の水流による騒音発生を防止しています。
水中オペレーション能力向上としてAIPを、あさしお<2001改>にて実験し、そうりゅう<2009>型以降実艦装備しています。 AIPは艦内保有の酸素によりスターリング機関を駆動し、潜航中空気を取入れなくても長時間水中航走できるもので、川崎が技術導入・開発しました。
とはいえこれらの潜水艦の主たる原動力は、やはりデイゼル電気推進で、潜望鏡深度で潜航中、海面上へ上げた給気筒から空気を吸入し、海面直下へ排気するスノーケル式のデイゼル機関です。 米国潜水艦が原子力推進に変わった今、日本の潜水艦は、原子力ではないスノーケル式デイゼル電気推進潜水艦で、大型航洋型潜水艦としては世界のトップレベルにあるといえます。
X舵は水中オペレーション能力の向上の方策であるとともに舵の船体下部や左右への突出を少なくして海底や岸壁への接触損傷を防ぐ効果もあるといえます。
船型としては、水中抵抗低減、水中運動性の観点からは涙滴型が理想的だが、この程度の速力ではその差は大きくなく、他の要因も考えて葉巻型にしたとされています
(1)。
参考文献 (1) 海上自衛隊潜水艦の技術的特徴、 幸島博美、 世界の艦船 2012-10
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