米潜には前回見たSSNの他に、SSBN弾道(Ballistic)ミサイル潜水艦という一族があります。
これは米ソ冷戦における米国戦略の決定打ともいうべきもので、いざという時海中に潜伏した潜水艦から弾道ミサイルでソ連領土を攻撃しようというものです。 弾道ミサイルも初期のポラリスからポセイドン、トライデントと発達し、飛距離も伸びてソ連の全土をカバーできるようになりました。 ソ連にとってこれは大きな脅威であり、これが一因となってゴルバチョフ・レーガン会談等、冷戦終結の動きへつながったと言えます。
SSBN最初のG. WASHINGTON級は5隻。 完成が急がれたため上図のように、建造途中のSKIPJACK級の船体を輪切りにしてその間に弾道ミサイル発射装置の区画を挿入するという方法で建造されました。 以後は初期設計からSSBNとして建造され、E.
ALLEN級5隻のあとLAFAYETTE級は31隻が建造されました。 OHIO級は格段に大型化し、水中排水量18,800トンの巨大潜水艦です。 それまでのSSBNをリプレースするため18隻が建造されました。 深さの大きな乾ドックを備えたOHIO級専用の潜水艦基地があります。
冷戦終結しても、世界平和とはならず、地域紛争やテロ攻撃の脅威が台頭してきました。
この脅威への対策として、また一方OHIO級SSBNの必要数が以前より少なくなったので、OHIO級の中4隻が改造され、トマホーク誘導ミサイルを発射するSSGNとなりました。 このトマホークは海中から発射され、レーダーに見つからないような超低空を誘導されて飛行し、紛争域の目標をピンポイント攻撃するものです。 SSGNのGはトマホークミサイルが誘導ミサイルGuided
Missileなのでその頭文字です。 また改造OHIO級にはSDV(SEALS Delivery Vehicle)という潜水艇を積みSEALをOHIO潜水艦からひそかに出動させ上陸させるシステムを有しています。 SEALとはSea
Air Landから来ており、海、空、陸にわたって作戦する小規模特殊部隊で、ビン・ラディンの殺害やMaersk Alabama 号海賊事件の海賊制圧・船長救出に活躍したといわれています。
資料 : ① アメリカ潜水艦史、 世界の艦船 n.567、 2000-4
② 特集・アメリカ海軍、 世界の艦船 n.773、 2013-2、
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