船のカタチ(28A)  戦後NYKの定期貨物船
               Y級 山城丸 <1963>、 I級 出雲丸 <1966>、
               K級 加賀丸 <1966>、 V級 VIVIEN <1976>
                                                                 2016-08-15 神田 修治


私は船が好きですが中でも定期貨物船カーゴライナーが特に好きです。 定期貨物船は運賃の高い雑貨を積み、定期航路を高速で走る、いわば海の特急列車ともいえ、船社のフラグシップ代表的優秀船が就航し、それらの船はカタチ美しい。 この「船のカタチ」シリーズでは(-13)(-14)(-15)で日本の定期貨物船の発祥と発達を述べ、(-28)ではNYK日本郵船の戦後の優秀船復興、A級、S級について述べました。 そこで今回(-28A)は、NYKの定期貨物船の中から、Y級、I級、K級、V級について述べます。

上図最上段 Y級
山城丸 は(-14)にも記したように当時の画期的な高速・高経済船。 カタチも美しい。
3段目 K級
加賀丸 はY級の成果を発展させた超高速船で、欧州航路用。 (-15)にも記述しました。
2段目 I級
出雲丸 は欧州航路以外の種々の定期航路に就航できる船として数社の造船所(1)で建造された。
最下段 V級
VIVIEN は、コンテナ化に対応して、コンテナも積載でき、ライナーにも不定期船トランパーにも使える船として建造され、名称もライパーとも呼ばれました。 定期貨物船における当時のスピード競争の努力を立ち止まって反省し、船の大きさ、速力、荷役装置等全般的に見直し、貨物船は如何にあるべきかを考えたものであったと私は思います。 そのためか本船は使い勝手が良かったらしく、コンテナ化等環境激変の当時の海運界の中で、長く働いたようで、私は2001年頃にも、神戸港で本船が荷役しているのを見かけたことがあります。

上図のY級、K級、I級は、主要目(PP)は異なるが、カタチはみな同じで、山城丸と同様のカタチです。長船首楼と船尾楼付平甲板型、セミアフトエンジン、荷役装置はデリック式・・・等。ハウス前面のカタチ(造型)も「同じ」といえるほどよく似ています。これは船のカタチの進化のない保守的な姿勢とも見えるが、別の見方として、山城丸の成果がたいへん良かったので、自信を持ってこのカタチを踏襲したのであろうかとも見えます。 ハウス前面は船のカタチに影響する重要な要因と思うので、本シリーズでもいつか論じたいと思います。

Y級、K級、I級について(1)、またV級について(2)、 それぞれ技術論文があります。
  (1) 山城丸以降の日本郵船高速定期貨物船について、川原隆、船の科学1966-03
  (2) 最新鋭多目的貨物船ライパー Vシリーズ、三菱重工業長崎造船所、船舶1977-03


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