船のカタチ(29A)  MOLの定期貨物船
               R級 ろざりお丸 <1965>、 B級 ぶれーめん丸 <1966>、
               S級 さばな丸 <1967>、 P級 ASTRA PEAK <1977>

                                                                 2016-08-15 神田 修治


MOLはOSKと三井船舶が合併してできた船社です。 船のカタチ-29 でOSKの南米航路貨客船のことを、-30 で三井の定期貨物船のことを述べたので、今回 (29A) は合併後のMOLの定期貨物船について記述します。

ろざりお丸 R級、欧州航路や紐育航路以外の、南米航路等多様な定期航路に適するカーゴライナーとして開発された船。 船尾機関船、2列ハッチ、デッキクレーン多用の荷役装置、等新しい試みがなされた。
ぶれーめん丸 B級、欧州航路用超高速カーゴライナー。 船のカタチ-15にも、超高速船として記述した。
さばな丸 S級、紐育航路用高速カーゴライナー。 バルバスバウ等新船型、2列ハッチ、デッキクレーン多用、等が特徴。
ASTRA PEAK PEAK級、定期航路ライナーにも不定期船トランパーにも使える船、ライパーとして開発された。

MOLの定期貨物船カーゴライナーのカタチは上図のように、船尾機関やセミアフトエンジン等の機関室の位置、デッキクレーンの採用など各級ごとに異なります。 これはNYKの各級同じカタチであるのと対照的に異なります。 そして造船所も、いろいろの会社に発注されています(1)。 MOLになる前OSKと三井船舶はそれぞれ、MHI神戸、三井造船MESと深い関係でありました。 MOLになってからもこの関係は継続したようで、B級はMESとMHI神戸で2隻ずつ建造されました。 S級はMES、MHI神戸、日立HZ、日本鋼管NKK各1隻ずつ、R級はサノヤスと名村2隻ずつ、という具合です。 そして造船所の違いも影響し、上図のような各級ごとのカタチの違いが出てきたと私は思います。

このように多数の造船所へ分けて発注するというやり方は整備期間は短いが、船舶設計のデザインスパイラルを進め、各造船所の合意を得ることのできるような発注仕様書を船社側で作るため、船社の設計陣は大変だったろう、と私は思います。 そのためか上図最後のPEAK級では、造船所はNKK1社に絞られました。(2) (3)

これらのカーゴライナーの技術的事項については、論文が発表されています。(1) (2) (3)
 (1) MOLの定期貨物船の建造について、加名生浩二、船の科学1967-09
 (2) 最新鋭多目的定期貨物船PEAK型の基本設計、土井進一、船舶 1977-05
 (3) 最新鋭多目的定期貨物船PEAK型の設計、建造について、日本鋼管鶴見造船所、船舶 1977-05


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