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Michell J.H.の造波抵抗論文とその時代背景
作成者 : 野澤和男
 元大阪大学


      Michell J.H.の造波抵抗論文とその時代背景  (pdf 20ページ)



  J.H.Michell(1863‐1940)はイギリスからの移民の父を持つオーストラリアの数学者である。 1898年に初めて船の造波抵抗に関する理論計算式を発表した。

  1800年代はイギリス産業革命の発展、拡大期で、やがて大西洋航路定期客船のスピード競争が華々しく繰り広げられた時代にあたる。 大型高馬力化、高速化の変遷は1969年竣工のクイーン・エリザベス号まで続くがそれに船舶流体力学上の著名な学者の名前を並べるとその中に船体抵抗や造波抵抗の研究に名を遺すWilliam Froude, John. H. Michell、Osborne Reynolds, Thomas. H. Havelock を見ることが出来る。・・・・・・・・・

  日本造船工業は1956年に英国を抜き1970年頃まで建造量第1位として世界を牽引した。 各種商船の大型高馬力化、高速化を目指して、船型研究者は各種造波抵抗論文を競って勉強し改良して船舶設計に応用したがその基礎にはMichellの理論があった。 薄船近似のため直接、応用できなかったが美しく纏められた“Michell造波抵抗式”は筆者らにとって思考の尺度として研究、設計に活用した思い出の理論である。