Cargo Linerの高速化は1965~70年当時の世界的な動きでありましたがそれらを上図に示します。
設計の基本方針は「Port Speedも含めた高速化」で、その点では各船とも共通だが、それを実現する具体的な
方法には多彩な試みが見られ、ひいては船のカタチにも上掲のようにいろいろのものが出現しました。 そして
それぞれ高性能の優秀船です。 これらは極東航路に就航し、神戸港でもよく見かけました。
PRESIDENT POLK(P船)は米国標準船MARINER型のバリエーションです。
BENLEDI(B船)はハウスが大きく、荷役設備はデリックとデッキクレーンの併用です。
CECILIE MAERSK(C船)はデリック主用、このほうが荷役作業には好都合かとも思います。
LUDWIGSHAFEN(L船)はスツルケンマスト2基とデッキクレーン、ハウスは高層小型、多列ハッチです。
このように各船には多様な工夫が見られ、これらの船の計画・建造に当たって、船社、造船所の力いっぱいの
努力の傾注が感じられます。 船のカタチにもそれが感じられ、それぞれよいカタチだと私は思います。
それにもかかわらず、これらの船は高速Cargo Linerという本来の任務で働いた期間は短く1970~80年には、
B船は売船、P船は海軍輸送船、C船とL船はコンテナ船に改造されました。
上掲の船社、造船所はそれぞれ伝統ある名門会社。 船社と造船所の協力関係も独特のものがありBen社と
C.Connel社、HAPAG社とHDW社は永年の連携がありました。 Maersk社はOdenseと関係が深いがC船の建造がKockumsであるのはOdenseがMaersk向けVLCCで手一杯だったためかもしれません。 これら各社はコンテナ化やアジア台頭等によって命運は大きく変わりました。 Maersk社、HAPAG社は現在もあるが、APL社はシンガポール船社に買収されてブランド名のみ残り、Ben Lineは定期貨物船事業から手を引きました。 造船所では、NASSCOとKockumsは海軍艦船をやっており、C.Connel社は造船をやめました。 HDWは健在です。
|
|