大型コンテナ船が今後どのように発展して行くかは興味あるところです。 私にはカタチ、特にハウスの位置に関心があります。 上図は上からEMMA MAERSK(E船)、Long
EMMA MAERSK(LE船、私の推測)、MSC BERYL(M船)、および最近Maersk-Daewoo社が発表したTriple-E(TE船)を示します。 E船とLE船のハウスはエンジン直上一体型、M船とTE船はブリッジを前方に分離して置いたもの(セパレート-ハウス)です。
E船については船のカタチ(23)にも記しました。 私は、E船のあとには将来ハウス前部の平行部船体を延長した、さらに大型の船が出現するであろうと予測し、E船のハウスがあんなに前方にあるのは船体延長の場合の前方視認のためであろうと予測した(1)が、その想像図がLE船です。 ところが2009年ODENSE社は閉鎖を発表しました。 私は大いにおどろき、また上記の予測を実際に見ることはなくなったと残念に思いました。
M船はセパレート-ハウスです。 これは大型化の前方視認問題への対策と思われ、またハウス高さを低くすることができ、エアドラフト制限も楽になると思われます。 最近韓国や中国で建造された13000TEU以上の船はほとんどがこのカタチといえます。 私がこのカタチを初めて知ったのは、2001年の超大型コンテナ船シンポジウム(関西造船協会)でのLR(ロイズ船級協会)の試設計の発表(2)でしたが、そのときのシンポ会場の反応は「ブリッジをバウに置くならまだしも、こんな中途半端なもの・・・」というものであったと憶えています。 しかし現実には、このカタチが盛んになっています。 友人の船長に聞くと、「バウ-ブリッジはブリッジ乗員の疲労がひどいのでブリッジはミジップ近くにある方がよいと思う」とのことでした。 たしかにバウは動揺加速度が大きいと思います。
2011年Maersk-Daewooから次期超大型コンテナ船としてTE船が発表されましたが、これはセパレート-ハウスです。 ハウス高さも低く、18000TEUとしてコンパクトにまとまったといえるが、美的感覚からの船のカタチとしてはどうか?とも私は思います。 またTE船は省エネ船というが、19ノットでよいのだろうか?と私は首を傾げます。
(1) 神田修治、MAERSK-ODENSE大型コンテナ船の進化 MATRIX56(2007)
(2) 遠藤雅右、超大型コンテナ船(ULCS)、超大型コンテナ船シンポジウム、関西造船協会(2001)
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