ノルウエイの沿岸急行船(Hurtigruten)はノルウエイ西岸フィヨルド地域の各港を結ぶ生活航路、観光航路として有名です。 1893年創業といわれているが、それ以前の国営の郵便船も考えると1820年代から続く伝統ある海運です。 今回は1930年代から現在に至るHurtigrutenの船のカタチの発達・変遷を示します。 各時代において数隻の準同型船があるがここには代表的な船(公刊図面のあるもの)を示しました。
PR船、HJ船は古典的だが、航路事情によくマッチし、そしてまことに良いカタチだと私は思います。 V船は自動車をRORO積載するためカーフェリーのよう、機能的ではあるがカタチはすこし異形と思う。
N船は観光船機能を重視したものです。 この航路のフィヨルドや多島海の景観を見る観光客が増え、それに対応して、RORO機能は船側からとし、角ばってはいるがよいカタチの船になったと思う。 このクラスはHurtigrutenの歴史を画する傑作だと思います。 現在、多数の準同型船が造られ、活躍しています。
F船は観光船機能をさらに進め、北極海観光のために計画された船で、船名もフリチョフ・ナンセンが北極探検に使用した探検船フラム号にちなむ。 そして本来の沿岸航路にも対応し、配置はN船と同様だがカタチは、N船のシャープな角を柔らげるため随所に曲面を使って、さらに良い造形になったと思います。 推進器はポッド式。
上図で、各船の彩色Liveryはまちまちだが、これはHurtigrutenがいくつかの船社の共同運航であったためで、最近は経営統合されHurtigruten
ASAとなり、ファンネルマークも上図のF船のマークに統一されました。
Hurtigruten社とその船についてはきれいで精密なスケッチの入った詳細な参考書があります。(1)
この本にはカタチよい船、フィヨルドの美しい景色とともに、当時この地方の人々の厳しい生活と二つの大戦を経たノルウエイの社会とHurtigruten経営の苦労、各時代の新船計画の意欲と経緯が述べられています。
参考文献 (1) Mike Bent、 COASTAL EXPRESS、 Conway 1987
ところで、先日インターネットを見ていたら、「船おじさん」というサイトでこの「船のカタチ」シリーズが 話題に取上げられており、たいへん嬉しく見せてもらいました。 http://blogs.yahoo.co.jp/nobuki420/37332043.html
「船おじさん」も、船好きで、船に関する多くの知識や経験をお持ちのようです。
私はこれまで船に関する情報を集めるのにインターネットを大いに利用し、「船のカタチ」を発信するのにシニアギャラリーのインターネットサイトにお世話になっているのですが、今回のように反応をいただく等の相互作用、ネットワーク作用にも大きなチカラがあることを、今更ながらに実感・感心しました。
たいへん好意的に取上げてくださったこと、この場を借りて「船おじさん」に感謝いたします。
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