これまで数回ノルウエイの船、海事についてみてきました。
ノルウエイはカタチ美しいカーゴライナーを建造・運航し(船のカタチ-32)、コンテナリゼーションの中、荷役装置を備えたコンテナ船を工夫し(-33)、RORO船や広口・箱型船倉の船等独特の船による海運をやりました(-34、-35)。 また母船式捕鯨をやり、鯨工船のカタチconfigurationはドミナントデザインDDといわれています(-37、-38)。
ドミナントデザインは今も見られますがここにはノルウエイ出自のMOSS式LNG船と海底掘削船を示します。
LUCIANはMOSS式LNG船の最初期の船でノルウエイのMOSS Rosenberg社で建造されました。 巨大な球形タンクを積んだ独特のカタチです。 球形タンクはLNGの極低温の熱応力対策であり、また天然ガスという危険物を安全に運送・荷役・管理するための設備、一種の化学プラントといえるものを持っています。 最近は大型化し上掲LNG
BARKAのようになったが基本的なカタチは同じです。 また船のカタチ-36のGolar Spiritも同じカタチで、これらは典型的なドミナントデザインといえます。
「ちきゅう」は日本で最初の深海底掘削船です。 以前、海上交通システム研究会(MTS)で「ちきゅう」の運航担当のグローバルオ-シャンデベロップメント社、山本勝氏の講演を聴いたが、「ちきゅう」の中核技術の掘削システムはノルウエイのSea
Drill社のものだそうです(1)。 世界の最近の海底掘削船をみても、多くがこの方式であり、基本的なカタチは同様で、これも一種のドミナントデザインといえます。 上図にはSea
Drill社のWEST PORALISを図示しますが、船のカタチ-27のSAIPEM 12000やDEEPWATER CHAMPIONも同様のカタチです。
このように母船式捕鯨、Moss式LNG船、海底掘削船など海事分野のノルウエイ発のドミナントデザインは顕著です。 日本はこれらをノルウエイから学んできたが、これからも学んでゆくべきことが多いと思います。
・・・ノルウエイの船について、もう少し続けようと思います。
参考文献 (1) 山本勝、「ちきゅう」の運用、MATRIX56 pp17 (2007)
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