Princess Cruise社は1988年Sitmar社を買収合併し建造中のクルーズ客船を取得します。 それが上図のSTP船とCP級です。 これらの船のカタチはSitmar社独特のもので上部構造も外板の曲面で包み、ベランダは外に解放せず窓のような開口にするという具合です。 特にCP級のカタチはRINAのNA誌にdolphin(イルカ)をイメージしたと報じられましたが(1)、私も同感で曲面を生かしたなめらかなよいカタチであると思います。
その後1995年、PC社はSP級を新造したが、そのカタチは上記Sitmar社の2タイプからの影響を受けており、ちょうど前回のRoyal Princessと上記Sitmar社からのタイプの合成といったところです。 そしてRoyal
Princessのような開放的ベランダではなく外板で覆い開口を開けたカタチで、これはこれで外舷に規則正しく並んだ開口がキレイと思います。 また本船の煙突部は煙突の機能から逸脱した巨大なオブジェとなっていますが、多数の細い骨を組んで作っており、これは重量や風による力をなるべく軽くする工夫だと思います。
下にRoyal Princessの図を前回(船のカタチ-64)から再録します。
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これらの図を見ると、船のカタチ、造形には外板で包んだ(エンクローズ)カタチがある一方、ベランダ等は開放的がよいという考えもあると思われ、これらのバランス・組合せが大切と思います。 この意味からRoyal
Princessは開放感を重視し、STR船やCP船はエンクローズを意識し、SP船はその両方を取入れたものといえるがエンクローズの考えが色濃く残っていると思います。
このように、STP船やCP船のエンクローズとRP船のオープンの混血としてSP級が生まれたといえます。
それまでのPC社の船のカタチにSitmar社の新しい血が導入されたとも言えると思います。 このSP級はPC社のスタイルとなり、以降PC社はこれをベースとして船隊を増強し、カタチも定着してゆくこととなりますが、それは次回に記します。
(1) Dolphin inspiration for P&O’s new cruise liner, Naval Architect
May 1990, Royal Inst. Naval Architects
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