海上保安庁(海保)の船艇のなかでも特に同型船隻数が多いファミリーがあります。 これらは設計よく高性能、
使い勝手よく、現場から建造要求も多いのだろうと思うが、そのような船を 「働き者船艇」 として上に図示します。 これらは海保で永年重用されて 「海保の船はかくあるべし」 という設計思想が確立され、込められているといえます。 もちろん同型船隻数は少ないが 「働き者」 という船艇もあり、特殊用途の船等がそれだが、それらについてはまた別に取上げたいと思います。
えさん<1978>級、つるみ<1980>級・・・海保発足時はUSCGを手本にだいおう<1950>(船のカタチ-73)、れぶん<1951>(船のカタチ-78後出)等を整備したが、当時は海保船艇の設計思想もまだ確立されておらず、いろいろに対応できるマルチ役割の船であったと思う。 それがここに示したえさん級、つるみ級。 これはこれで多目的のカタチ良い船。
えりも<1991>級・・・マルチ役割を脱却して役割を明確に限定しようと、「救難強化型」として設計された船。
くにがみ<2012>級・・・えりも級等の運用経験をふまえて改良を重ね進化した「救難強化型」の船。
いわみ<2013>級・・・くにがみ級の合理化タイプ。 ヘリコプター運用できないが、それでは不具合ではないかと私は思う。
働き者船艇としては、小型の巡視艇も重要です。
ひめぎく<1992>級・・・日常あらゆる用途に使い勝手の良い巡視艇。同型約160隻のビッグ・ファミリー。
よど<2002>級・・・消防巡視艇。 おりおん<1993>級・・・監視取締艇で40ノットの高速により犯罪を取り締まる。
ことなみ<2010>級・・・ブリッジ配置を工夫し高さの低いよいカタチ。 将来小型巡視艇の典型になるだろうと私は思う。
さらに小型の艇、巡視船の搭載艇等も、救命艇・救助艇として重要です(Motor Life Boat-MLB)。 ここには海保の搭載艇の他に、米国USCGと英国RNLI(Royal
National Lifeboat Inst.)の代表的なMLBも図示しました。 RNLIの艇は通常は陸上に保管し、出動時にはウォーターシュートのように進水します。 そして、磯波を乗切って難破船に近接し、乗員等を救助する様(さま)はまことに勇壮です(1)。 これらのMLBはSelf-Righting自動復原型、Self-Bailing自動排水型です。
(1) Rescue at Sea, C. Evans, Naval Inst. Press / Conway Maritime Press
2003
|
|