船のカタチ(85)  北欧の船 スエーデンStena社のフェリー
               STENA GERMANICA <1967>、 KRONPRINSESSAN VICTORIA <1980>、
               STENA GERMANICA <1987>、 STENA EXPLORER <1996>、
               STENA BRITANNICA <2002>

                                                                 2017-01 神田 修治


Stena Lineはスエーデンをベースに、北海、アイリッシュ海、スカンジナビアの諸港を結ぶフェリー会社です。
創業は1962年、フェリーの他にバルク貨物船、海洋開発等をやっており、私が最初にStenaを知ったのは、潜水支援船STENA CONSTRUCTORでした(船のカタチ-60)。 上はStena社フェリーの代表的な船です。

STENA GERMANICA<1967>はStena社初期の船。 車両甲板高さを確保するため背低中速デイゼル主機。
KRONPRINSESSAN VICTORIA<1980>はフェリー大型化のはしりで当時のライバル会社Sessan社の船。
Stenaと合併しStenaの彩色となったが、上図はSessan時代の彩色を示します。 ハウスの側外板上縁は大きな弓なりでそれより上部は灰青色の、特異ではあるがよい色・カタチと思います。 スエーデン造船所の建造。
STENA GERMANICA<1987>はポーランド建造、水線上のカタチは客室と自動車積載の最大化を図るため、まったくの箱型というようなカタチですが、それをウマクまとめてよいカタチに仕上げたと思います。
STENA EXPLORER<1996>は高速船HSSで、Wave PiercingのSWATH船型です。 水ジェットとGEの航空機転用ガスタービンにより40ノットの高速を出したが、燃費高騰の時期、経済性悪化のため引退したようです。
STENA BRITANNICA<2002> Stena社はRORO貨物と船客輸送に注力し、本船はRO-PAXと呼称されます。 Hyundai建造。 隣国韓国の北欧伝統市場への進出に敬意を表し本船を掲げます。 前半を船客(PAX)、後半をRORO貨物という配置。 この航路は船客も多いらしく、新造のあと船体延長し客室を増やしました。

航空機全盛時代の現在でも、この海域では海上交通が盛んで多数の船社、船舶が活動しています。 その理由はマイカーやトラック等の自動車を運ぶカーフェリーとしたことが、日本と同様、好評をもって受入れられたことだと思うが、それだけに参入船社多くて競争が激しく、合併や撤退、栄枯盛衰・合従連衡も激しいようです。 そのためStena社のフェリーは、他社から移籍した船もあり、船名と船体の対応も変遷激しく、上掲は多数のStena社船のうち一般配置図があるもの等ごく一部です。 他の船については、例えば次のサイトに出ています。 http://kommandobryggan.se/Bryggan/stena.htm また小冊子もあります(1)。 ただし何れも写真です(2)。

   (1) Nick Widdows, Stena Line, The Fleet, Ferry Publication, 2010
   (2) 本シリーズの図は、写真ではなく、一般配置図GA等から作成したスケッチであり、
      それが本シリーズの特徴。


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