船のカタチ(42)  ノルウエイの船  Fred. Olsen (FO) の船
               BLENHEIM (BL)、 BALKIS (BA)、 BANDEIRANTE (BAN)、
               BORGSTEN (BO)、 BENCHIJIGUA EXPRESS (BE)
                                                                   2013-06 神田 修治


FO社はノルウエイの船社、以前はいろいろの船種をやったが今はクルーズ客船、高速フェリーをやっています。 この社の1950~60年代の船には船客設備、荷役装置等の機能とカタチの調和に工夫が見られます。

BL級はノルウエイ-英国航路の客船。ハウスの流線形、ファンネルとマストの一体化等、斬新なカタチです。
BA級はノルウエイ-地中海航路の中型貨物船、荷役設備にデッキクレーンを採用し、岸壁からのフォークリフト荷役等の工夫が見られ、カタチもBL級と一脈通じた、FO社らしい良いカタチだと思います。
BANは南米航路の大型貨物船、走行式デッキクレーンを採用し、カタチはBA級の拡大型といったところです。

BOはタンカー、ブリッジはウイングをなくしタワーのみが屹立しユニークです。 構造重量や振動の観点からウイングをやめたのかと思うが、離着桟に当たってウイングから看視することができず不便であったかと思います。
BEは最近の船でAustalのトリマラン・ウエーブピアサー型、ウオータージェット推進で40ノットの高速船。

FO社等は1950~60年代、デッキクレーンやフォークリフト等、荷役設備の改善・開発に注力しています。 そして船のカタチや彩色にも工夫が見られます。 ハウス上部の側面はファンネルと同じ黄土色で、図示はしなかったが凝ったフィギュアヘッドをつけています。
FO社は1970年代タンカーを日本の造船所に発注したが、これらのタンカーもタワー型のブリッジでした。 しかし現今のほとんど全てのタンカーではブリッジにウイングがあります。

余談ながら、1947年コン・チキ号太平洋探検の隊員の一人Erik Hessenbergは集合出発地のリマへ行くため、FO社の貨物船Laurits Swenson号<1930>にオスロからクリストバルまで乗船したそうです。 (1)

  参考文献  (1)エリク・ヘッセンベルグ、松下裕訳、 コン・チキ号とわたし(絵本)、 文化出版局、1980
             原典:Erik Hessenberg,  KON-TIKI OG JEG,  Dreyers Forlag,  1950




船のカタチ(42a)  ノルウエイの船  Fred. Olsen (FO) の船 つづき
               LENHEIM、 BALKIS、 LAURITS SWENSON
                                                                   2013-06 神田 修治


船のカタチ -42 では全長114mの中型貨物船BALKISから全長265mの大型タンカーBORGSTENまで同一縮尺で一つの画の中に入れたので、BALKIS等は小さくなって見えにくくなってしまった。 そこでここには -42a としてBLENHEIMとBALKISのみを拡大して図示しました。 
この図ではファンネルとマストの一体化、ハウス前面の造形、ハウス上部の黄土色やBLENHEIMのボートデッキのサンルーム、BALKISの荷役装置のありさま等、機能とカタチの調和への工夫が見て取れると思います。

ついでに上述(-42)の余談、コン・チキ号太平洋探検について記すと、Erik Hessenbergは探検隊員6名のうち唯
一人船員出身であったが、絵を描くのが上手で絵本を出しています(-42の参考文献-1)。 その中から彼の便乗したFO社船Laurits Swenson号のスケッチと別に調べた本船の写真を下に示します。 彼の船の絵は正確ななかにも味があります。 そしてアンカーの絵は投錨時海底をよく掻くようにフリュクがシャープで、シャンクは太くて頑丈に図示、という具合に船員としての想いが込められているように私は思います。

この船のエントツは異常に小さいが、これは当時出現したデイゼル機関ではボイラーのような大きなエントツが不要であったためです。 当時建造されたデイゼル船はMAERSK社やEAC社等の船もエントツは小さかったが後には各社とも大きなエントツにしました。 エントツは船のカタチにおいて重要な役目があると思います。

←Laurits Swenson号スケッチ

   (Erik Hessenberg)
←Laurits Swenson号写真

   (www.warsailor.com)


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