前回(船のカタチ-20)に述べたように、コンテナ船となってPort Speedの隘路が改善され、航海速力の向上が実効あるものとなったので、航海速力はさらに向上しました。 上掲(上からK船、E船、B船、L船と記す)は欧州航路、ニューヨーク航路のために建造された超高速コンテナ船で、航海速力は26~27ノットです。 荒天があってもこの航海速力で長距離航路を走破し時間きざみで到着するのだからスゴイものだと思います。 主機システムにもいろいろの工夫があり、K船とL船はタービン2機2軸、E船はデイゼル3機3軸、B船はデイゼル2機2軸です。 燃料消費も莫大で、途中寄港地で燃料補給をすると聞きました。
船のカタチを見ると、まず船体が大きくなりました。 上図の縮尺率は前回までに比べ格段に大きいことに注意下さい。 このように建造費や燃費の高い船ではコンテナ積み数を増大せねば採算が合わないという事情があり、これに船社営業の集荷状況も勘案して船の大型化が計画されたと思いますが、船のカタチ-20の諸船の700TEU程度にくらべこれらは約2,000TEUと大幅に大型化が進んでいます。
K船、E船はコンテナ甲板上積段数が1段だが、B船は4段と多く、現在のコンテナ船に近いカタチといえます。 またB船の船首楼は、前述の、ごうるでんげいとぶりっじの教訓(船のカタチ-20)からか高くて長いものになっています。 そして船首には独特のナックル(稜線)があるがこれは凌波性のためのフレアやコンテナ積載を考えたカタチの工夫と思います。 上の絵ではナックルの陰影を強調し過ぎたかもしれません。
K船のハウスはエントツを左右の2本としハウス前面には真中に大きな開口があります。 造形としてナカナカ面白いと私は思っていたが、後船(アトブネ)の春日丸では開口や2本エントツをやめて普通のハウスになっています。 またK船では錨甲板を1段下げており、これでは青波をかぶるだろうと思っていたら、春日丸ではこれもやめてフラッシュデッキになりました。 これらの船では大馬力主機の長大な区画と上部のハウスのカタチのまとめ方に苦労が感じられます。 K船のハウス前面の開口や、B船のハウスの上コンテナ積載はその工夫と思います。 E船では機関室上部にコンテナ船倉を設けています。
各船はたいへん意欲的な船でしたが、莫大な燃費には問題があったようで、その後の石油価格高騰もあり、K船、L船は低出力のデイゼル主機に換装されました。 この点E船、B船の燃費低いデイセル採用には先見の明があったと思います。 とくにB船は当時世界最大出力のデイゼル2機によるエンジンシステムをモノにし、試運転では本邦商船最高速力31.64ノットをマークしました。
L船は英国OCL社の船でドイツ建造。 トリオグループで、K船、E船のパートナーとして走りました。
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