前回(船のカタチ-61)ではKHIのSEA-Arrowを中心に直立船首リバイバルを見ました。
その後、直立船首採用の動きはKHIだけでなく他社建造船でも見られます。 今回はその例を図示します。
上図最上段のC船はKHIのSEA-Arrow船首の第一船で、80,000m3 LPG船、2003年竣工。
これ以後KHIでは10隻を超えるLPG船が建造されているが、いずれもSEA-Arrow型直立船首です。
R船は苛性ソーダ/バルク貨物船で、直立船首に似ているが、仔細にみると微妙な曲線となっています。
大島造船ではこのような船型を以前から採用しており、私の認識では2009年竣工のコンテナ・バルク貨物船PERIKANAでも同様のカタチとしています。 PERIKANAについては 船のカタチ-35 で取上げました。
O船は油タンカーで住重建造。 左側の側面図では船首がC船とほとんど同じカタチだが、肥えた船型で船首流入角も鋭くないので、右側の船首45°右から見た図ではC船とは異なり、左舷側の船体がすこし見えます。
A船はMHI長崎建造の大型豪華クルーズ客船です。現代クルーズ客船で直立船首としたのは、おそらく本船が初めてと思います。 クルーズ客船は外見カタチも特に重視すると思うが、AIDA社は王女アイーダをイメージしたものか、これまでフレアの大きな船首に赤朱の唇と青いクマドリの黒い瞳を描いた派手なデザインでした。 ところが本船は直立船首に唇と瞳を描いたもので、どちらがよいカタチか意見は様々だろうが、新しく・変わったカタチではあります。 この船首ではフレアが小さくスラミング衝撃はソフトになるだろうが、船首部の波浪冠水は大になると思う。 ハウス前面には客室もあるようなので、局部強度や防水等に十分な対策が必要と思います。
ところで、KHIがSEA-Arrow船首を開発した際には特許を取得したようだが、上図のように類似の直立船首のカタチを他社建造船も採用するにあたって問題はなかったのか、私には関心があります。
上の右側の図は、C船、R船、O船ではいつものように船首45°右から見たカタチですが、A船は大型で紙面に収まらないので、船首右舷からの角度は45°ではなく、30°右から見たものとしました。
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