船のカタチ-61、-62と直立船首を見てきて気がつくと、最近船首のカタチにユニークな工夫が目立ちます。
I船はオフショア支援船(Offshore Support Vessel-OSV)、海底石油・ガス開発作業等で資材補給、要員交替、アンカー設置等の支援作業を行う船で、船のカタチ-60で示したDSVと似た機能の船です。 これらの船は荒天中の凌波性が大切で、以前は船首楼が高く大きなフレアがありました。 最近Ulstein社が建造したI船は外側へ開いたフレアをやめて逆に内側へ閉じた船首のカタチ(X-Bow[R] Ref.1)です。 U社によればこの方が、スラミング衝撃が少ないそうです。 船首部の冠水は、船首楼部分の浮力により緩やかに船首が上昇して防止できるようです。 これはU社のこの種船舶の運用調査と建造経験による工夫と思います。
G船は家畜を生きたまま運搬する船で、これもI船と同様内側に閉じた船首のカタチです。 おそらくこの方が
スラミングによる家畜への悪影響が減るのであろうと思います。 私個人はあまり良くないカタチと思います。
Z船は米海軍の最新の水上戦闘艦で、以前の駆逐艦DDに相当します。 これの船首もユニークで、鋭くとがり
フレアはなく、波に乗上げるというよりは、波に貫入してゆく考え(wave piecing)のようです。
GP船はNKKが開発したAx-Bow R (Ref.2)で、かなり以前NKK建造船に実用化されました。
これも船首と波浪の動きを観察して工夫開発されたユニークな船主のカタチと思います。
従来船首のカタチといえばフレアがあって船首冠水を防いで凌波性を出そうとしていたが、最近はまた別の、逆の発想ともいえるユニークなカタチが出現してきたことに興味を覚えます。
Ref.1) X-BOW [R]
Ref.2) 山崎他、低速肥大船の船首形状、関造協論文集240、2003
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