川崎汽船、K-Line、KLのカーゴライナーについては、船のカタチ-31で紐育定期航路のカーゴライナーを取上げました。 そこで今回は-31Aとして、その他の航路のカーゴライナーを取上げ、上図に示します。 これらの船はすべてKHIで建造されたので、カタチの変化は造船所の違いによるものではなく、もっぱら定期航路営業上の要求や、それに応じた技術的検討の違いによるものといえ、技術的進化を見て取ることができます。
ふろりだ丸級、紐育航路用のねばだ丸級(船のカタチ-14、-31)の成功の後、その他の種々の航路にも使用できる船として計画された、Lpp145m、9000PS、16.2knの準高速船です。 要目は神川丸級(船のカタチ-31)と同じとし、船型と基本配置は ねばだ丸と同じ。 KHI設計とKL工務をやられた高城清氏(故人)は本船について技術的随想を出され(1)、本船は使い勝手が良いと船長やチーフオフィサーからほめられ、氏自身も愛着を持った船であったと述べておられます。 この級の最終船
てねしい丸は、主機をパワーアップし11,250PSで17.3knを出しています。 馬力は速力の3乗に比例するという関係から計算すると速力は17.33knとなりますが、上記の論文(1)で高城氏は、この場合、フルード数がハンプに差しかかり速力は伸びなかったと記されています。
丁抹丸級、当時の船型学の進歩により、球状船首等の新船型により抵抗低減を図りました。 この場合は船体寸法や船型も変更し、簡単には言えないが、てねしい丸に比べ馬力は小なのに速力は増大しています。
いんぐらんど丸、欧州航路用超高速船。要目等については船のカタチ-15に記事あるので、参照ください。
いべりあ丸、ライパー(LIPER=LINER+TRAMPER)。(2) (3) ライパーはノルウエイ船主でも建造されたが(船のカタチ-33、HC船、JB船)大きな流れにはならず、コンテナ船の方が主流となったことは周知のとおりです。
このように、丁抹丸等の新しい船よりも以前の ふろりだ丸の方が、乗員から好評で、設計者も愛着を感じるということに、私は興味を覚えます。 船の設計において、経験のある手慣れたやり方がよい、ということかとも思います。 同様のことを船のカタチ-1、-5でも述べました。 ・・・しかし私は、丁抹丸の方が断然好きであります。
(1) 我が愛するふろりだ丸姉妹の記、高城清、 船の科学1989-11
(2) 最新鋭多目的貨物船 いべりあ丸 の基本設計、伊東達夫、船舶1977-06
(3) 最新鋭多目的貨物船 いべりあ丸 の設計、建造、KHI造船設計部総合設計課、船舶1977-06
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