船のカタチ(93A)  米海軍(USN) に学ぶ 海上自衛隊(海自)
              海自のイージス護衛艦 DDG と 揚陸艦 LST ならびに DDH (ヘリコプター護衛艦)
              
                                                2017-09 神田 修治

このシリーズの私の計画は、いま旧日本海軍を終わり、今後数回米海軍USNをやって、そのあと海上自衛隊(海自)へと進めるつもりでありました。 それは「海自は旧日本海軍を踏まえ、USNに学んできた」と捉えたいと思ったのです。 これと同様のことは、以前、船のカタチ-49でも「海自の潜水艦は旧日本海軍の技術を踏まえ、米潜水艦に多くを学び開発した」と述べたが、潜水艦だけでなく海自の艦船、技術、体制等、全般にこのことが言えると思うのです。 また私は、旧海軍の失敗は中枢部が驕り、国を護るよりも自組織の保身を第一としたことにあると記しました。(船のカタチ-86
先日来報道されている陸上自衛隊の南スーダンPKOの日報にかかわる事件もまた、自組織の保身を第一に考えるという、旧日本軍の悪弊を再び見る思いがします。 「責任を痛感する」として稲田防衛相は辞任したが、防衛省中央と出先現場の相互信頼は低下したと私は思います。 防衛庁が防衛省となる等、組織が大きくなり、充実するにつれ、このような問題が出てくるのは組織の論理として必然かもしれないが、これではいけない、シッカリしてもらいたいと思い、本稿を記しました。

いま日本周辺には脅威があり、それは ①北朝鮮の核ミサイル攻撃、 ②中国による尖閣諸島上陸だと言われています。
下図には、① ②の脅威に対応するために、海自がUSNから学んだこと、学ぶべきことを、私の思いも交えて記します。

                    USN → (学ぶ) → 海自


図の最上段はイージス艦で、脅威①に対応するものです。 イージスは高度の対空戦システムで、空襲してくる多数の目標を同時に並行して探索、探知、追尾、分析、ミサイル攻撃破壊するシステムで、USNのイージス駆逐艦DDG ARLEIGH BURK等に学んで、海自はDDG こんごう級DDG あたご級を開発しました。(1) これらはUSNと共同作戦するよう、システムの体制・基準等を共通とし、運用の技倆・練度についても海自はレベル高く、USNから厚く信頼されていると聞きます。

2段目以下は脅威②占領された島を奪還するための
揚陸作戦システムであり、USNには船のカタチ-93ARG 水陸両用揚陸軍団があります。 LHAは航空機により兵員と物資を揚陸するもので、各種ヘリコプターの他、V-22オスプレイやSTOVL機F-35の運用も可能です。 LHDLHAの後部にドックを設けたもので、航空機の他LCAC エアクッション揚陸艇等の上陸用舟艇の発進、運用が可能です。 これらに学んで海自はLSTおおすみ級を開発したと私は思います。 また私はここにDDHひゅうが級DDHいずも級も記入しました。 DDHはヘリコプター搭載護衛艦揚陸艦ではないが、ヘリコプターによる揚陸作戦が可能と私は思い、ここに記したのです。 またDDHは情報処理、指揮命令の能力が大で、揚陸作戦に効果大と私は思います。 この図を見て私は、DDH、LST、LHA、LHDの諸艦は、船のカタチもよく似ていると思います。 戦闘システムを載せるプラットフォームとして水上艦の、ひとつの基本的・典型的なカタチはこうなるのかと私は思います。

さて、①②の脅威に対し、上記のシステムでは、まだ万全とはいい難いと私は思います。 これに対し防衛省、自衛隊には上記日報問題等を起こすことなく、驕ることなく、危機感を失わず、システムと運用能力の向上をシッカリやってほしいと思う。

   (1) ミサイル護衛艦50年史、世界の艦船802、2014-08   (2) 週刊ダイヤモンド 2017-08-26 等


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