船のカタチ(94)  USN米海軍 太平洋戦争 戦後の空母
              CV41 MIDWAY <1946>級、 CV41 MIDWAY改造 <1970改造>、 
             
 CV59 FORRESTAL <1975>級
                                                                 2017-10 神田 修治



航空母艦(空母)は前回述べた空母打撃軍団CSG(船のカタチ-93)の中心です。
太平洋戦争冒頭日本海軍がやったハワイ攻撃により、世界は航空機の威力を認識したのでありました。 そこで戦後各国は空母の建造に注力したが、なかでも米海軍の努力は壮大でありました。 上図はその初期、終戦直後期の空母を示します。

MIDWAY <1945>級 本艦はESSEX級(船のカタチ-92)の後艦(アトブネ)として戦中に計画されたが完成は戦後となりました。 当時最大最高性能、日本の大鳳(船のカタチ-8892)とよく似た艦で、大鳳より高出力、高速でした。 航空機用エレベータは船体中心線上(CL)に2基、左舷舷外に1基あります。 CLエレベータは攻撃を受けて破損・故障すれば、エレベータが使用できないばかりでなく飛行甲板に大きな穴が開き、飛行機の離着艦が出来なくなるので、舷側エレベータの方が有利です。 船体構造は、Main Deckを強力甲板と考え、それ以下を主船体とし、これに縦強度を担わせ、それより上は、縦強度を担わせずに伸縮継手(図中Exp.Jt)を設けています。 本級は3隻。 ESSEX級はパナマ通航できたが、本級以降はできない。(B幅が過大)

FORRESTAL <1955>級 対ソ冷戦の戦略空母として建造されました。 太平洋戦争の戦中戦後の経験・知見が注入され開発されました。 すなわち  ①弱点のCLエレベータを廃し4基すべてを舷外エレベータとし、 ②アングル飛行甲板(Angled Flight Deck-AFD)の採用、 ③飛行甲板直下の甲板全体をGallery Deckとしてここに管制室やオフィス、居住区を配置、 ④飛行甲板を強力甲板、それ以下全体を船体梁とし、断面係数I/yを極力大として縦強度上の合理化を図る等の新しい考えが取入れられました。 AFDの採用によって飛行機の発進と着艦が同時並行してできるようになり、またこの間甲板上駐機も可能となりました。 このようにして本艦は、空母として最も合理的で、使いやすい優秀艦となり、究極の空母、Super Carrier等と言われました。 本級は計8隻です。 

MIDWAY <1970改造> FORRESTAL級の成功に鑑み、その思想によりMIDWAYの改造が行われました。 改造は大規模で、改造によりFORRESTAL級とほぼ同等の機能を有する艦になり、その後も横須賀を基地として1997年まで活躍しました。

これらの空母は米ソ冷戦の時代、武力衝突を抑止するための顕在的脅威として威力を見せ付けて、ソ連に手出しを断念させる効果を発揮しました。 軍備には武力衝突抑止という側面があり、これが戦争防止・平和維持に重要と私は思います。


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