船のカタチ(94A)  USN米海軍の 原子力空母CVN
              CVN65 ENTERPRISE <1961>級、 CVN68 NIMITZ <1975>級、
              CVN78 G.R. FORD <2017>級
              
                                                2017-10 神田 修治



前回(船のカタチ-94)のFORRESTAL級は究極の空母、と言われましたが、その後も発達・進歩がありました。
それは原子力化、
ENTERPRISEは原子力空母の試作試験艦的性格であり1隻建造されたあと、実用型原子力空母としてNIMITZ級10隻が建造されました。 原子力推進は、 ①ほとんど無限の航続、ひいては稼働率の向上が得られ、 ②自艦用燃料油が不要となり、その分航空機用燃料を積むことができ、 ③さらに排気ダクト・エントツが不要となる、等多くのメリットがあり、空母は原子力化により、より強力なものとなりました。
ENTERPRISE <1961> 図は新造時を示すが、艦橋アイランドは四角で、側面にフェーズドアレイ・レーダーアンテナを取付け、その上にパゴダ型のアンテナを取付けた、独特の斬新なカタチでありました。 その後改造工事が行われ、NIMITZ級と似たカタヂとなりました。
NIMITZ <1975>級 同型10隻が建造され、現在USNの主力です。 排水量10万トンの巨艦。 原子炉の進歩により、ENTERPRISE級では原子炉8基であったが本級では2基、炉心寿命も伸び10年以上無補給、燃料交換なしで航行可能と言われています。 しかし私は、原子炉4基とし各軸に1基設けるのが、防御性、信頼性から良いのではないかと思います。(後述 船のカタチ-94B
G.R.FORD <2017>級 最新型で本年(2017年)竣工予定。 新型原子炉で、信頼性向上、寿命延長、原子炉燃料、炉心交換が艦の寿命を通して不要となったと言われています。 これは炉心交換という大工事が不要となり、運用上メリット大と思われます。 このほか、電磁式カタパルトや先進式着艦アレスター等、種々の新式装備が開発・搭載されるようです。

上図のように並べてみると、カタチの変遷としてアイランドの位置が、時代経過とともに船尾へ移っていることに気が付きます。 このことは前回-94FORRESTALを並べ比べるとさらに明らか。 この理由の一つに原子力化があると思います。 以前はボイラーが船体中央部にあったので、排煙ダクトをなるべく短くするために煙突を内蔵するアイランドはミジップ付近に置く必要があったが、原子力になればその制約が無くなり、他の要因によって後方へ移動したものと思われます。 他の要因は艦載機の発着コントロールではないかと私は思います。 原子力化の他、基本的な空母設計の考え方はFORRESTAL級の考えを踏襲し一貫していると私は思います。 それは ①ファインな船体の上に広い多角形の飛行甲板を載せたカタチ ②飛行甲板を強力甲板とし、それ以下全体をハルガーダーとした縦強度の考え ③Angled Flight Deck ④舷側エレベータ 等ですが、この考えはFORRESTAL以降最近のG.R.FORDまで60年以上変わらず一貫しています。 これはもとの考えが優れていたということで、スバラシイと私は思います。
また①の考えは、空母の機能を、 A) 海に浮いて航行する機能と、 B) 飛行機を搭載し発着させるというA) B)二つの機能に分けた機能分化(注)の一例と思います。

     (注) 赤木新介、設計工学(上)、コロナ社、1991、p91~



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