現在USNの巡洋艦は、船のカタチ-93で述べたCSGやARGの護衛が主任務だが、巡洋艦という艦種は昔からあり、それは大砲による攻撃をやる艦でした。 二次大戦末期以降の米巡洋艦を上図に示します。
BALTIMORE <1943>級、ALBANY <1946, 1961改造>級 (A級)は大戦末期・終戦直後の典型的な米巡洋艦。 ALBANYは対空ミサイルシステム艦に改造されました。 戦中、航空機の威力が広く認識され、航空機に対抗するための改造でした。 改造ALBANYは長距離レーダアンテナのため、背の高いマスト兼エントツの特異なカタチ。 コンピュータ等かさばる機器を搭載するため、艦橋は巨大。
LONG BEACH <1961> (LB艦)は原子力推進巡洋艦の最初。 レーダーのアレイアンテナを四角い巨大な艦橋の壁面に装備し、独特の斬新なカタチ。 ミサイルのみで計画開始したが、あと砲1基を船体の中央に設置。この頃USNは巡洋艦の位置づけに悩んだようです。
BAINBRIDGE <1962>とVIRGINIA <1976>級は、巡洋艦ではなく大型駆逐艦(DLGN-原子力推進)として設計、建造され、就役後巡洋艦に編入されたのです。 この頃USNは巡洋艦の位置づけを攻撃艦ではなく護衛艦としたようだと私は思います。
TICONDEROGA <1983>級 (T級) は護衛艦として計画されたと思います。 量産されました。 ガスタービン推進。武装はイージス防空システム(Aegis AAW system)、これは多数の航空機等を同時並行に探知、追跡、攻撃できるそうです。 船体線図は後出DDG SPRUANCEと共通、駆逐艦船体を巡洋艦としたので重量増、喫水増をきたし、船首青波冠水を防ぐため船首部ブルワークを設けた。
これらの「船のカタチ」はいずれも均整のとれた、闘志を感じるよいカタチと私は思うが、LB艦とT級の箱型艦橋は気になります。 LB艦の艦橋は完全な箱型、T級の艦橋はレーダーのフェーズドアレイアンテナを斜め上方に向けるため斜面のある箱型でこの箱型は後方を見張るためハウスの後部にもある。 どちらも特異なカタチ、独特な造形、私はこれも良いカタチと思います。
このように、米巡洋艦は以前の攻撃艦から、CSG、ARG (船のカタチ-93) 等の護衛を任務とする艦へと変遷しました。
A級の極端に高いレーダアンテナはすたれて、僚艦と情報を共有するネットワークセントリック方式となった、と私は理解しています。
いま、上記の艦はほとんど姿を消し、現在活躍しているのはT級のみです。 役割も変遷し、上記のように護衛艦であります。
(資料1) N.Polmar, The Ships and Aircraft of the US Fleet, 13th ed. USNI
1985
(資料2) 特集・アメリカ海軍, 世界の艦船460, 1993-01
(資料3) Weyers Warship of the World 1969 USNI
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