いま米海軍USNの駆逐艦DDの任務はCSG、ARGの護衛が第一、また先般のDeweyによる「航行の自由」作戦FONのように、状況に即応して種々の任務を実行しています。 駆逐艦は小回りが利き、対空AAW、対潜ASW、対水上艦ASUW等、あらゆる戦様Warfareの兵装を有するので遊撃的な任務にも好適と思います。 上図は二次大戦末期から現在までのUSN-DDの代表例です。
二次大戦中日米の駆逐艦競争があり、米の代表選手はFLECHER <1942>級 (F級)でした。 日本側は陽炎級。 (船のカタチ-90、92) F級は傑作で175隻が建造され、続いて準同型艦SUMNER級(後出)67隻、GEARING級96隻が建造されました。
戦後USNは米ソ冷戦等に応じて、F級の発展型としてFORREST SHERMAN <1955>級 (FS級)、CHARLES F. ADAMS <1959>級 (CA級)を建造しましたが、CA級はTartarを装備したミサイル駆逐艦(DDG)で、当時世界最強と言われました。(資料2、4)
SPRUANCE <1975>級 (S級) この艦は画期的。 級の全艦の設計から建造まで一切を民間会社Litton社Ingalls造船所に任せました。 主機はガスタービン、船体には将来の兵装性能向上のため余積があります。 そのため本艦は、多様な用途に適応できるものとなり、前回(船のカタチ-96)の巡洋艦TICONDEROGA級は本級の派生型で、船体線図はF級とTICONDEROGA級共通です。
ARLEIGH BURK <1991>級 (B級) Aegisイージス防空ミサイルシステム艦、ガスタービン主機、ステルス艦(レーダー隠密性)。 ステルス性とイージス用フェーズドアレイレーダーアンテナ装備のため独特のカタチ。 USNの実働DDは現在本級のみ。 本級は海自の
こんごう級の手本です。 最近本級の横須賀配置の艦には北朝鮮の脅威を意識してか、イージスにBMD(弾道ミサイル防衛)の改造がなされたそうです(資料5)。
ZUMWALT <2016>級 (Z級) 最新の級、ステルス艦、ウエーブピアス船型で、独特の未来的なカタチ。ウエーブピアスとは、艦首のカタチで、波に乗るのではなく、貫入し(ピアス)かき分けるカタチのことです(船のカタチ-42)。 高船価のため3隻で建造打ち切り。
船のカタチについて私の思いは、F級、FS級、CA級は、闘志満々の戦闘艦らしい良いカタチ。 S級とB級はオモチャのよう。 Z級のカタチに私はオドロキました。 このようにミサイル等兵器の発達により艦のカタチも変遷し、オモチャのように、闘志の希薄なカタチになったと私は思う。 これはセンサーとミサイルの発達により、敵艦の姿を直(ジカ)に見ずに合戦するようになったことと関係あると私は思います。 速力については、センサー索敵距離やミサイル射程の向上により、速力を競う合戦は少なく、高速は重要でなくなり、F級の37ノット超からFS級、CA級、S級の33ノット程度を経て、最近のB級、Z級では30ノット程度となりました。
(資料1) N.Polmar, The Ships and Aircraft of the US Fleet, 13th ed. USNI
1985
(資料2) アメリカ駆逐艦史, 世界の艦船496, 増刊43集, 1995
(資料3) アメリカ海軍, 世界の艦船814
(資料4) 山崎真、ミサイル護衛艦建造、世界の艦 船802、2014-08、pp69
(資料5) 緊迫・BMD体制、世界の艦船874, 2018-02
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