船のカタチ(105)  海上自衛隊  掃海艇、掃海艦
                MSIちよづる <1956移管>級、 MSCやしま <1954供与>級、 MSCあただ <1956>級、
                MSCやしろ <1956>級、 MSCかさど <1958>、 MSCたかみ <1969>級、
                MSCはつしま <1979>級、 MSCうわじま <1990>級、 MSCすがしま <1999>級、
                MSCひらしま <2009>級、 MSCえのしま <2010>級、 MSOやえやま <1993>級、
                MSB1号艇 <1957>級、 MSB7号艇 <1973>級
              
                                                2018-09 神田 修治



海自掃海部隊の歴史は大変古く、海自発足より前に遡ります。 さきの戦争の直後、日本近海は旧海軍やUSNが敷設した機雷の海で、その掃海・航路啓開が日本復興の第一であり、GHQの命令により、日本の復員庁、運輸省海運総局、海上保安庁航路啓開本部に引き継がれ、旧海軍の木造艇を中心とした掃海部隊により実施されました。
その中にはGHQの命令による朝鮮海域の掃海作業もあり、この間殉職者、犠牲者も発生しています(1)。機雷は磁気感応が多くそのため掃海艦艇は木造等の非磁性の船体です。 対機雷戦には「掃海」と「掃討」があり、掃海は掃海具を曳航して海域を掃除するもの、掃討は機雷を探知装置で見つけ、それを処分するという方法です。 また機雷には深海敷設もあり、水中処分もやります(2)。

ちよづる <1956移管>級は旧海軍の木造艇、やしま <1954供与>級はUSNからの供与、木造艇(船のカタチ-99A)。
あただ <1956>級やしろ <1956>級、は海自の掃海艇建造に当たり試作されたもので、船型はあただは丸型、やしろは角型、検討の結果、角型とされた。 かさど <1958>級は試作検討の結果角型の本格的量産艇、26隻と多数が建造された。 船のカタチは機能第一、私は好きです。 たかみ <1969>級かさど級を基に、掃討能力追加、水中処分隊ダイバー用のゴムボート搭載。
はつしま <1979>級たかみ級を基にひとまわり大型化、自走式機雷処分具S-4を搭載し機雷掃討能力向上、居住性向上。
うわじま <1990>級はつしま級と同様だがソナーを新式とし掃討能力向上、自走式機雷処分具も新式S-7の1型。
MSOやえやま <1993>級、深々度機雷への対処が主任務、機雷処分具は新式S-7の2型。
大型で掃海艦と称される。
すがしま <1999>級、船型大きく変わり、長船首楼、煙突2本横列、バウスラスタ装備、舵はシリング舵(3)、機雷掃討能力向上のため外国技術導入、機雷探知機は英国製2093型、機雷処分具はフランス製PAP104、情報処理装置は英国NAUTIS-M。
ひらしま <2009>級、前級すがしま級と変わり、煙突は1本の以前のカタチに戻り、掃討装置も、すがしま級の英国、フランス等への依存をやめ新型国産化を図り、機雷探知機ZQS-4、機雷処分具はS-10、対機雷戦情報処理装置MCDSを採用。
えのしま <2010>級、対機雷戦装備はひらしま級と同様だが、船体材料にGFRPガラス繊維強化プラスチック材を採用。
MSB1号艇 <1957>級MSB7号艇 <1973>級、港湾や沿岸海域の機雷処理に従事、現在はリモコン化、級全艇除籍された。

このようにMSC、MSOは一般に小型でありますが、多隻数で協力して長期間洋上に滞在してオペレーションをするために、母艦を中心として艦隊を組んでやる母艦方式です。  かさど級等のように船のカタチは、凌波性のため高い船首楼、作業のため低い船尾、独特の船のカタチで、よいカタチと私は思います。 機雷処理オペレーション゚は、危険物を対象とした海洋作業というべきものと私は思います。 また平和的活動と思います。 またこのような独特の海洋作業技術、戦後の後始末ともいうべきで、このような活動能力は大切と私は思います。

   注(1) 福本他、海自の掃海能力、」現況と課題、世界の艦船823 2015-10
   注(2) 高橋、掃海・掃討の実際、世界の艦船823 2015-10
   注(3) Schilling Rudderとは舵軸に直角な断面が魚形の特殊舵、大きな迎え角でも
        ストールを生じなく大舵角まで有効である、Japan Hamworthy社販売


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