船のカタチ(78)  海上保安庁 歴史的船艇
              みうら <1944>、 むろと <1950>級、 あわじ <1950>級、 れぶん <1951>級、
              えりも <1965>級、 しれとこ <1978>級、 いず <1967>級、
              ほくと <1952>、 しんかい <1968>、 つがる <1979>級、 えりも <1991>級
                                                                    2016-06 神田 修治
   ref.  特記の他 海上保安庁ハンドブック 海人社2001
   図中一つの船につき左右二図あるが、左側は正横側面図、右側は船首45°右舷から見た図を示す。


これまで数回にわたり海上保安庁(海保)の現有船艇の概容を見ましたが、1948年の海保創設から現在に至るまで約70年となります。 今回はこの間の海保船艇の発達を「船のカタチ」の観点から見ます。

海保は終戦まもなくGHQの指令により創設されたので、諸事米国コーストガードUSCGが手本とされました。 その後防衛庁・海上自衛隊の設置等により、海保は救難警備・水路・灯台に関連する業務を担当することとなりました。 海保の船艇は当初、旧日本海軍から継承したもの(例えば
みうら<1944>)が主力でしたが1950年代には、USCGの船を手本として上掲のむろと<1950>級、あわじ<1950>級、れぶん<1951>級、ほくと<1952>が新造されました。 1960年代にはタンカー火災や遠洋における漁船の海難等、対応すべき業務も増大し、えりも<1965 >級、いず<1967>級、しれとこ<1978>級等が建造されました。 えりも級、しれとこ級はれぶん<1951>級の進化型と言えるが、大型化、高速化が進み立派な船となりました。 またいず級は遠距離救難、気象観測用として遠洋における堪航性向上のためさらに大型、長船首楼型となり、気象レーダードームを装備した新設計船でありました。 さらに日本の社会が戦後の「復興」から新時代の「発展」という段階に進むなか、海保の仕事も拡大し、そのなかには科学技術庁予算で建造された深海調査船しんかい<1968>を運用するというパイオニア的な業務もありました。 

1970年代になると海保船艇の設計もUSCG手本から脱却して海保独自の設計思想が確立し、ヘリコプターを搭載・運用する
つがる<1979>級が建造されました。 1990年代にはえりも<1991>級が建造されました。 これらは新時代の巡視船として、USCG手本から脱却し、海保オリジナルのカタチであるといえます。 現在も活躍中です。 

2000年代以降は不審船や尖閣海域の事件に対応した高速船
はてるま<2008>級の開発、さらにその技術とえりも<1991>級の総合としてくにがみ<2012>級、いわみ<2013>級等が建造されましたが、それらは「船のカタチ-76高速船艇」と「船のカタチ-75働き者船艇」に記述しました。



             船のカタチ(78A) 海上保安庁 歴史的船艇 (青地に白い船体)

          船のカタチ(78B) 日本船舶海洋工学会関西支部長賞受賞と今後の抱負


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