さきに(船のカタチ-80)、MARINER型はその後のカーゴライナーの設計に大きな影響を与えた、と述べたが、今回はその具体例として、MARINER型をベースとして設計・建造されたと思われる船たちを図示します。
JL級 : セミアフトエンジン。船橋をなるべく前に置くため長いハウスとし、4番倉口はトランクハッチ。
AC級 : 船体寸法はMARINERと同じ、機関は小型、ハウスのカタチはUSLらしく角ばっている。
AR級 : ハウスのカタチは一転、流線形となる。 船体長さLが短いが機関が強力で高速。
PP級 : 船体寸法はMARINER型と同じ、主要目やカタチもMARINERとよく似ている。 客船設備重視。
M級 : 長さがMARINERより短い。 顕著なバルバスバウ。 船容はMORMAC社独特のカタチ。
各船はカタチもMARINERの影響を受けており、特に船尾部は独特で、船尾材にはシューピースがなく、プロペラや舵が水をよく掻くと思われるカタチで、マリナー型船尾(舵)と呼ばれます。 最近はマリナー型船尾の船も数多いようです。 そして船全体のカタチは、マリナー型を基本とし、これに各船社の伝統的なカタチを継承・加味して新しいカタチにしようという狙いが見て取れます。
これらの船の時代、米国海運造船界はひとつのピークであったと思います。 その後1970年代になると、コンテナ化の時勢等により、これらの船の活躍は低調になってゆきました。
・・・以上、各種の米国の戦時標準船を調べてきて私は、次のことに感心しました。(4項目)
① 戦時の急造にかかわらず、船舶安全、性能上しっかりした設計の船であったこと。
② 船のカタチも、イカツイけれどカタチ良い船で、見る人の気概を起こすものであったこと。
③ 終戦後も活躍し、種々の前向きな改造により客船やコンテナ船等広い分野で活躍したこと。
④ さらに、MARINERやT2-TANKERのように、その後の船の設計に多くの良い影響を及ぼしたこと。
|
|