護衛艦に、対空戦AAWを重視した一族があります。 航空機やミサイルの迎撃能力が強力でミサイル護衛艦DDGと称されます。 DDは駆逐艦、GはGuided
Missileの頭文字でしょう。 USN米海軍は二次大戦中のハワイ空襲等により航空機の威力を痛切に認識しました。 そこで戦後USNは攻撃法としてCSG(空母打撃軍団
船のカタチ-93)を開発し、防御法としてAAWを研究したのです。 AAWは高射砲搭載艦から誘導ミサイルを搭載したミサイル駆逐艦へと発達し、最近ではAegisイージスシステムとなりました。イージスは、レーダーで多数の航空機やミサイル等を探知し、これらを同時並行して高速で敵味方を判別し、追跡し、迎撃する、コンピュータ誘導ミサイルシステムです。 USNのミサイル駆逐艦の第一陣は1960年就役のC.F.ADAMS(A級)でありました(船のカタチ-97)が、 日本ではA艦が就役した年にはあまつかぜが予算化されました。 その後も、USN最初のイージス艦A. BURKE(B級)(船のカタチ-97)に遅れること僅か2年で海自のイージス艦こんごうが就役しています。 このように日本、海自は大変熱心にAAWをUSNに学んできたのであります。
あまつかぜ <1965>級 USNのA級を手本とし、船のカタチもA級に似る。 兵装は誘導ミサイルTARTAR、のちASROCミサイル増設。
たちかぜ <1976>級 新造時からASROC搭載、コンピュータはデジタル化。 船のカタチは海自独特でバランスの取れたよいカタチ。
はたかぜ <1986>級 主機ガスタービン、そのため吸排気等上構のカタチが大きく変わった。 上甲板前部に誘導ミサイル、主砲、ASROCを配置したため前甲板が長く、上構が後寄りとなった。 これらをうまくまとめたカタチの艦と私は思う。 前甲板にブルワークを設けた。
こんごう <1993>級 海自初のイージス艦。USNのイージス艦B級を手本とし、B級に遅れること僅か2年で就役。 ミサイル発射機は新式のVLS垂直式。 艦橋は旗艦・司令部のため大型で、ステルス化とイージスのフェーズドアレイアンテナのためピラミット型、よい船のカタチと思う。
あたご <2007>級 イージス艦の最新型。 こんごう級をもとに、これに対潜ヘリコプターを搭載し、ASW対潜戦にも注力している。
海自のAAWはTARTARミサイル艦A級の初期からUSNに学び、現在はイージスシステムとなりました。イージスシステムはレーダーとデジタルコンピュータによる高度なシステムで、DDGはレーダーコンピュータシステムキャリヤーとも言えるものです。 上掲各艦はそれぞれの時代の海自のフラグシップでありました。それにふさわしく皆それぞれ威厳のあるよいカタチと私は思います。 いま日本には、北朝鮮による核ミサイルの脅威があり、これに対処するためイージスは必要で有効と私は思います。 イージスが真に有効であるにはUSNと海自との緊密な共同オペレーションが大切で、共同訓練等が行われるが、海自の能力は、乗員の練度を含め大変高度と言われています。(注1)
ところで、いま北朝鮮は実験などと称してミサイルを打っているが、私たちにとって心配事です。 そこでその時すかさず、海自のイージス艦がこれをピシッと撃ち落して見せてほしいものだ、と私は幼稚ながら思います。 幼稚にすぎる気もしますが。
(注 1) 山崎真、ミサイル護衛艦建造の歩み、ミサイル護衛艦50年史、世界の艦船802、2014-08
(資料) 海上自衛隊全艦艇史 世界の艦船869、2017-11
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