船のカタチ(102)  海上自衛隊護衛艦 DDH  ヘリコプター護衛艦
                はるな <1973>級、 しらね <1980>級、 ひゅうが <2009>級、 いずも <2014>級
              
                                                2018-06 神田 修治



護衛艦の対潜戦ASWにおいて対潜ヘリコプター(HS)は有力であることは前述しました。(船のカタチ100B) そこでHSを重視した護衛艦が出現しました。 これがDDHヘリコプター護衛艦という一族です。 HS搭載機数は3機とされました。 それは敵潜水艦を確実に捕捉・追跡するため、常時1機のHSを飛行させるには整備・補給を考えると3機搭載する必要があるからです(注1)。

上にDDHの全級を図示します。 
はるな <1978>級は はじめてのDDH。 汎用護衛艦DDを基とし、砲やミサイル発射機を前甲板に集めて、後部はHS運用にあて、船体中央部にHSを3機搭載するための大きな格納庫を設け、その後部はHS飛行甲板とされた。
しらね <1980>級は はるな級の発展型。 CIWS、SAM発射機等の兵器が増設され、コンピュータ化がさらに進められた。

ひゅうが <2009>級はさらに多数(10機)のHSを搭載する新型艦、船のカタチも一変し空母のカタチ、ステルス船型。HSエレベータ2基。
いずも <2014>級ひゅうが級の発展型でさらに大型、HSを14機格納可能。 HSエレベータ2基のうち1基は舷外式。 長大な艦容と舷外エレベータ等、艦のカタチは、より空母的になった。 ただし固有対潜武装はひゅうが級に比べて限定的の由(資料)。

搭載対潜ヘリHS、初期はHSS-2(重量約8トン、速力約110ノット)、現在は新型SH-60K(重量約10トン、速力約140ノット)。 ひゅうが級いずも級では、この他各種のヘリが搭載・運用可能です(注2)。 さらに垂直離着陸輸送機V-22オスプレイの離着艦の実績もあるようです。 最近では、垂直離着陸戦闘機F-35B(速力M1.6)の運用も非公式に検討されています(注3)。
このように日本・海自のASW対潜戦の能力は、永年の一貫継続した研究開発により、HSとDDH護衛艦の組合せ、HSの複数運用により、長時間、広範囲、多数拠点の、敵潜水艦探索、追跡ができ、攻撃や警告等の必要な処置を講ずることが可能なASWシステムとして発達を遂げ、世界的にもトップレベルと私は思います。 またこの一族は各時代、旗艦となるなど海自の代表的な艦です。

さらに思いを拡げると、DDHが、対潜ヘリSH-60Kの他、各種のヘリコプターや、F-35B戦闘機やV-22輸送機等のVTOL機を運用すれば、戦闘機によるASW作戦中の制空権確保、V-22輸送機による島嶼防衛の揚陸戦、さらにはCSG(-93)と同様の作戦、すなわち敵基地攻撃等、多様なことが可能になると私は思います。 このようにDDHは航空機側の技術進化が合体されて強力な能力を持つことになり一大飛躍が可能と私は見ています。 システム化が大切、と私は思います。 専守防衛が大切、と私は思います。

   (注1)  岡部いさく、ヘリコプター搭載護衛艦の発達、世界の艦船696 2008-10
   (注2)  山崎真、DDH4隻体制運用開始、世界の艦船858 2017-05 特集・DDH4隻体制
   (注3)  F-35Bキャリアーの時代、 世界の艦船880 2018-06 
   (資料) 海上自衛隊全艦艇史、世界の艦船869、2017-11増刊 


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