船のカタチ(103)  海上自衛隊護衛艦 DE
                あけぼの <1956>級、 いかづち <1956>級、 いすず <1961>級、 ちくご <1990>級、
                
いしかり <1981>、 ゆうばり <1983>級、 あぶくま <1989>級
              
                                                2018-07 神田 修治



DEは前出DD(船のカタチ-100102)より小型の艦です。 DEとはもともとUSNにおいてDestroyer Escort護衛駆逐艦として輸送船団等の護衛をする艦でありました(1)。 海自発足直後USNからの供与艦あさひ(ex AMICK 船のカタチ-99A)はこのDEでありました。 その後海自のDEは、船団護衛を任務としたものではなく、各地方隊に配置され管内沿岸・近海の警備・護衛を任務とする艦として発達しました(2)。 しかし海自は遠洋航海型のDDの建造整備に手いっぱいという事情もあったようでDEの整備は比較的に遅れていたようだと私は思います。 さらに、DEの任務については海上保安庁との関係もあったのではないかと私は推定します。 しかし私が思うには日本の沿岸の警備護衛は決して軽視してよいものではなく、これが万全であれば北朝鮮の特殊部隊の日本海岸への不法侵犯や拉致事件は未然に防止できた可能性ありと思います。

あけぼの <1956>級DE初期の代表。 DDはるかぜ級(-100A)の小型版、遠くから見て私は見間違えたことがありました。
当時は護衛艦建造の初期、DEとDDの機能の区別はまだ確立されてなかったのではないか、と私は思います。
いかづち <1956>級、デイゼル主機、タービン機関と比べてデイゼル機関は、燃費は良いが大馬力は困難でありました。 しかしマルチ・エンジン技術の開発も進み、DEの主機にはデイゼル機関もかなり採用されました。 その後ガスタービン艦が出現しました。
いすず <1961>級、(財)船舶設計協会の設計を脱し(防)技本設計。 設計の基本的考えは従来の重量クリティカルから容積クリティカル設計となり、容積確保のため遮浪甲板船型。 推進機関はデイゼル4機・2軸のマルチプルエンジン。 護衛艦設計の基礎を確立。
ちくご <1970>級いすず級の運用実績により設計され、船のカタチ良く、良い設計と思う。 そのためか同型艦11隻と多数。
いしかり <1981>、中央船楼型、小型の船体に盛りだくさんの武器で窮屈と言われた。 ガスタービン、デイゼル各1機、ギヤ装置を介して2軸とした。 2軸2舵としたのは、合戦時の操艦性と残存性のためと思うが、この考えは大切と私は思います。
ゆうばり <1983>級、前艦いしかりとほとんど同様。 長さを少し延長して窮屈を改善したものと言えます。 いしかり、ゆうばり級の船のカタチは中央船楼船型だが、要員が上甲板を駆け回るには不便で、これは沿岸警備等の任務遂行には不具合ではないかと私は思う。 このような艦では、乗員が甲板を駆け回り、舷外との間で作業ができることが大切と私は思う。
あぶくま <1989>級、上甲板が全通し、上甲板を駆け回ることができる船型となり、この方が実践的と私は思う。 本艦はDEとはいえ、むかしのDDに匹敵する重武装の強力艦。 ヘリコプター運用もVERTREP(ヘリを係止し物資補給)が導入された。

これらの中、特にいすず級ちくご級あぶくま級を見て私は良い設計と思います。 同型艦が多数建造されているのはその現れと思います。 DEの機能・役割をどう位置付けるか、現在は転換期にあると私は思います。 新型艦(30DX)の計画もあり、DEではなくFFフリゲイトとする考えもあるようです(3)。

   注(1) N. Polmar、The Ships and Aircrafts of US Fleet 13th ed、USNI 1985、pp160
   注(2) 鈴木総兵衛、自衛艦勢力伸長の記録、世界の艦船445、1992-01
   注(3) 世界の艦船880 編集後記等 2018-06


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