船のカタチ(82)  北欧・スエーデンの船
              Svenska Amerika Linjen (Swedish American Line)の定期客船Ocean Liner
                 STOCKHOLM <1948>、 KUNGSHOLM <1953>、
                 GRIPSHOLM <1957>、 KUNGSHOLM <1966>

                                                                 2016-10 神田 修治
注 : 図の左側は真横側面図、右側は右舷45°前方から見た図を示す


船のカタチ-3243でノルウエイの船を見ましたが、ノルウエイだけでなく総じて北欧の船はカタチ美しい。
今回から、北欧スエーデンの船をやりますが、まずはSwedish American Line(SAL)の北米航路定期客船。
SALは、1915年北欧-北米定期船を始めた初期のころは英国客船の古手などを使っていたが、第二次大戦前後のころから、自国Gotaverken造船所や他国(蘭、伊、英)の伝統ある造船所で、事業にマッチしたよい船を建造しました。 ここには第二次大戦 戦後のSALの船たちを図示します。

STOCKHOLM <1948> 終戦直後の船、貨物も重視。1956年イタリー客船ANDREA DORIAと衝突事故発生。
KUNGSHOLM <1953> 本格的客船、堅実なデザイン、クルーズで神戸港にたびたび寄港し私もよく見ました。
GRIPSHOLM <1957> 上のKUNGSHOLM <1953>の発展型、イタリア建造らしい洗練されたデザイン。
KUNGSHOLM <1966> クルーズ運航を強く意識した設計です。 英名門造船社John Brownの建造。

これらの船はオーシャンライナーといっても豪華というよりは堅実な設計で、大きさも速力も中庸のものです。 スエーデンの人たちのアメリカ往来の船客を狙ったもので、スエーデンの人たちが、ゲーテボルグ港から乗船できる船便で、スエーデンのFlag Carrier Shipだったのだろうと思います。 またすべてデイゼル船です。 このことはノルウエイの船社Norwegian American Line-NAL(船のカタチ-41)と似たところがあると思います。 船のカタチは「堅実で上品、清楚な美しさ」というものです。 純白の船体にクリーム色のエントツとマスト、煙突にはスエーデンのシンボル三王冠のマークがあります。 特にKUNGSHOLM <1953>以降はいずれも2本煙突・2本マストで、フォアマストはハウスの上、と独特の特徴が見られ、ひと目でSALの船とわかります。

これらの船はクルーズもやるよう設計されたが、SAL社は定期運航を主事業としたため、航空機の発達に対してクルーズ客船船社にはならず、1975年ごろ客船事業から撤退しました。 そしてSTOCKHOLM <1948>とKUNGSHOLM <1966>は他社へ売船、改造され、その後もクルーズ客船として活躍しました。




船のカタチ(82A)  北欧・スエーデンの船
               Svenska Amerika Linjen (Swedish American Line)の定期客船Ocean Liner
                 STOCKHOLM <1948>、 KUNGSHOLM <1953>、
                 GRIPSHOLM <1957>、 KUNGSHOLM <1966>

                                                                2016-10 神田 修治

これらの船は神戸港来航した時新聞等で「北欧の白鳥」と言われました。 下図は「白鳥の群れ」をイメージして青色をバックに4隻並んだ船隊の図です。この図案、むかしの船社のPRポスターなどによくあった図案で、SALの米国航路、を表した私のイメージですが、最近のクルーズのPRなどでは、船社や船隊よりも個々のクルーズのイベントや値段等に重点を移したものとなったようです。 それは旅行社のチラシによく見られます。






(図の作り方と画材 等)

最近は不透明白色のフェルトペンや透明の用紙等いろいろの文具・画材が出てきて、このようなことも比較的容易にできるようになりました。

図の作り方、前ページは先に船のカタチ-78Aで説明した方法です。 このページの図は、白い用紙に描かれた船の絵に、青色の水溶性色鉛筆と水性のフェルトペンで丁寧にバックを塗り、その上に、透明板に字を書いたものを重ねてスキャナーにかけました。 以前、SALグループの極東定期航路貨物船部門、SOK船のカタチ-19、でも青色バックの図案としたが、このときは油性の青色不透明フェルトペンでやり、大変根気のいる作業でした。

もちろんパソコンで船の画面にバックを塗り込むことも可能で、シニアギャラリー幹事の黒井さんは、やり方教えてあげると言ってくださるので、いつか機会を見つけて習いたいと思っています。




船のカタチ(82B)  北欧・スエーデンの船
               Svenska Amerika Linjen (Swedish American Line)の定期客船Ocean Liner
                 STOCKHOLM <1948>、 KUNGSHOLM <1953>、
                 GRIPSHOLM <1957>、 KUNGSHOLM <1966>
                                                               2016-10 神田 修治

前ページまでにはバックを青色にした図を示しました。 はじめはキレイと思ったが、見馴れてくると字(黒字)がはっきりしない(前頁)等の欠点も気が付きます。 ふと気が付いて、以前の、バックを青色にしない図を下に示します。 これを見ると、白い船体もそれなりにハッキリと見えることに気が付き、これもなかなか良いように思います。 特に私のように永年図面に親しんだ者にとっては、白地に黒い線のこの方がよいとも思います。

注 : 図の左側は真横側面図、右側は右舷45°前方から見た図を示す



バックに色を付けることはひとつの工夫ではあるが、やりすぎるとよくないとも思います。
「そういう工夫・方法もある」という程度に思いながらやってゆくのがよいのかもしれません。

このように「やりすぎない」という考え方、センスは「船のカタチ」の意匠デザインにも大切なことと思います。
例えばむかしNYKやOSKの黒い船体に白線、MITSUI LINEやYAMASHITA LINE等と入れるのは良かったが、最近のクルーズ船には過剰なものも見られます。 下図左のAIDAPRIMA(船のカタチ-62)はギリギリOK、右は「やりすぎ」と私は思います。 オマケにこれらでは塗装の費用もかかるでしょう。 (下図はi-netから)


  


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