船のカタチ(99)  海上自衛隊 (海自) 発足と 米海軍USNの支援 - その1・手本
              DD-FLECHER級 → 護衛艦 はるかぜ <1956>級 → むらさめ <1996>級
              SS-TANG級 → 潜水艦 おやしお <1960>
              SS-BARBEL級 → 潜水艦 うずしお<1971>級 → そうりゅう級
              DDG-ARLEIGH BURK級 → ミサイル護衛艦 こんごう級、あたご級
              LHA-TARAWA級、LHD-ESSEX級 → 輸送艦 おおすみ <1998>級、
                                    → ヘリ護衛艦 ひゅうが級、 いずも級
                                                                 2018-03 神田 修治



「船のカタチ」シリーズでは、船のカタチ-86から-92に旧日本海軍を、-93から-98に米海軍USNをやりました。 それを受けて今回から海上自衛隊(海自)をやります。それは、海自は旧日本海軍を基(モト)とし、USNに学びながら発達したと思うからです。(-93A)
USNに学ぶ方法として、海自艦艇の計画・設計はUSN艦艇を手本としました。  その有様を上図(正横側面図のみ)に示します。

海自最初の護衛艦
はるかぜ級は USNの駆逐艦FLECHER級 (F級)と旧海軍の陽炎級を手本にした、と私は思っていたが(資料1)には白露級をタイプシップとしSUMNER級 (S級)を参考にしたとあります。 ここに白露陽炎S級F級はそれぞれ準同型です。 F級は二次大戦中陽炎級のライバルであったので(船のカタチ-90-92)、何か因縁を感じます。 その後、護衛艦は進化し、近年はむらさめ <1996>級等となりました。 ところで現在海自の役割は「海上交通の保護」が第一とされています(資料2)。 海上交通の脅威は、潜水艦、航空機、水上艦からの攻撃です。 そこで護衛艦には、対潜戦ASW、対空戦AAW、対海上戦ASUW、三つの戦様の兵装があります。 むらさめ級は三戦様すべてに対応する汎用護衛艦です。 AAWを重視した護衛艦の最新型はイージス艦こんごう級あたご級だがUSNのARLEIGH BURK級が手本であることは図を見ても明らかです。 またASWを重視した護衛艦は対潜ヘリコプターを搭載した艦で最新型はひゅうが級いずも級だが、ヘリ運用に関してTARAWA級 (T級)ESSEX級 (E級)を手本にしたと私は推察します。 海自最初の潜水艦おやしおの手本は水中高速潜水艦TANG級でした。 また涙滴型潜水艦うずしお級の手本はBARBEL級でした。 その後の海自潜水艦は、非原子力のスノーケル・デイゼル電気潜水艦として日本独自に進化し、そうりゅう級に至っています。 また海自は離島防衛、災害救助等のために揚陸艦を保有するが、揚陸艦のおおすみ級T級E級が手本と私は思います。

手本とは、図面や資料の供与の他、技術者等関係者へのインタビュー等多面にわたるが、USNの支援はこれら多面にわたり懇切なものでありました。 それは私自身、現役中の仕事で見聞・体験があります。 また手本を、その根底の考え方までよく理解・咀嚼して、こちらの戦様、環境に応じて応用・活用することが大切だが、日本の関係技術者はそれをウマクやったと私は思います。 
このように、海自は艦艇の計画において、USNに手本という支援を受けながら、成長・発達してきたと言える、と私は思います。

     (資料1) 日本造船学会編、昭和造船史、第2巻戦後編、原書房、pp590
     (資料2) 香田洋二、自衛艦整備の歩み、世界の艦船869、2017-11増刊



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